さて楽屋入口のドアを開けると着物姿でマスクをつけた前座さんが小さめの声で「ご苦労さまです(目上にご苦労さまは本来妙なものですが、寄席は昔からこの挨拶なんです)」と近づいて来るなり、こめかみに銃口を向けて……と思ったら検温です。そして脱いだ靴を前座が、ではなく「自分でしまって」という貼り紙に従います。出されるお茶は味気なく紙コップ、楽屋内は禁煙となり、出番直前までマスクをしたまま会話はなるべく控えめに。出番を終えたらトリの師匠に挨拶するために残るなどせず、早めに帰るようにとのこと。もちろん当面は打上げ、お客さまとの会食もストップがかかっています。
安全な興行のためとはいえ、息のつまる新しい日常。早く元の呑気な落語日和をとり戻したいですね。