「あらくれ」とは荒々しいこと、乱暴なこと。映画のタイトルは有名ですが、まさかデコちゃんがあらくれてる張本人だったとは! 気が強く、嫌なものは嫌ときっぱり言い、けっしてめそめそしない。どんな男にもばんばん口答えするし、ぶたれたらやり返します。だってそうやって自己主張しないと、女はどこまでも男に搾取されるから……。終戦から10年以上経っても、男に楯突く女性像はタブーだった日本。自分に正直に生きてるだけで「あらくれ」なんて呼ばれるんだから、女ってつくづく割りに合わない生き物ね。そんなデコちゃんのぼやきが聞こえてきそうです。
公開当時、本作のデコちゃんに勇気をもらい、鼓舞された女性も多そう。それを恐れての成人映画指定なわけですが、フェミ・ヒーローとして再評価される資格の充分にある、非常に現代的なキャラクターです。
どんな役の色にも染まる天才女優デコちゃん。本人の生来の気っ風のよさが随所に感じられる本作はまた格別にイイ。水木洋子脚本ならではのズバッと的を射たダイアローグも冴え、独特のねちねちしたセリフ回しには爆笑&喝采必至。あらくれデコちゃんは、強く生きたい女性たちのロールモデルだ!