暮らしに役立つ、知恵がある。

 

宇崎竜童さん・阿木燿子さんの家族の物語。

夫婦は、家族であり、一方で一番近い他人でもある。長らく関係性を続けていくには、二人にしかわからない努力もしてきているはず。
でも、外から見ても素敵だなと思う夫婦の間に必ずあるものは、お互いへの尊敬と感謝。見失わない工夫、教えてもらいました。

撮影・徳永 彩(KiKi inc.) スタイリング・高橋匡子(阿木燿子さん) ヘア&メイク・大島知佳(レーヴ/阿木さん) 文・森 綾

自粛期間はかつてなく一緒にいた。喧嘩は一度もしなかった。

宇崎 それにしてもこのコロナの自粛期間はかつてなく一緒にいたねえ。

阿木 喧嘩を一度もせずにね。

宇崎 それどころか、ありがとうを何度言ったかわからない。自分の好きな空間で、好きな人がいて、好きな仕事をやっているんだから文句はないよ。

阿木 私たちは自由業同士で距離の取り方に慣れているからかも。普段、ご主人はお勤めで昼間いないのに、今回ずっと一緒、なんていう人は大変だったと思う。身近にいればいるほど、尊敬できないとつらい。

宇崎 そう、僕も尊敬されないとという思いは色濃くありますね。

阿木 そうよ、ジャージにタオルを首に巻いてうろうろするのはやめて(笑)。

宇崎 今日、久しぶりに髪をセットしたら宇崎竜童に戻れた(笑)。

阿木 尊敬って大事よね。愛情は時に支配的になることもあるけれど、尊敬し合っていたら、同じ空間で呼吸していることが苦しくない。

入り口にはアーティストがこだわった龍のオブジェが。夫妻の好みが細部にわたって反映されていた。
入り口にはアーティストがこだわった龍のオブジェが。夫妻の好みが細部にわたって反映されていた。

「尊敬されないといけないという思いは色濃くあるね」(宇崎さん)

宇崎竜童さん・阿木燿子さんの家族の物語。

補い合えるものを探しながら、人のために生きよう。

宇崎 この3カ月、毎食料理を作ってくれたことにも、本当に感謝だよ。

阿木 私にとって料理するのは自然なこと。各々できることをやればいいし。お互いに補えることを探しながらね。

宇崎 僕は補いきれてないと思うよ、配偶者として男としての家での役割は、一切できていないからね。

阿木 私だってひどいし。

宇崎 いや、僕は雑だから皿を洗っても割るし。もう食洗機に入れるよ(笑)。

阿木 二人共通にダメなところは断捨離ができないところね。

宇崎 そこは似てるね。一対で仕上げないといけないテーマはまだある。僕は「結婚」という約束もまだまだ果たせていない。夫としての役目というか。

阿木  互いに成長しないとね。年齢とともに頑固になるのではなく、柔軟に成熟していきたい。自分たちのためには充分生きたから、人のお役に立たなくては。

宇崎 世界中の人が歌ってくれるような曲を一緒に作れたらいいね。

懐かしい一ツ木通りに降り立った二人。「銭湯があったんだよ」と宇崎さんは感慨深げ。阿木さん・ブラウス5万3000円、パンツ3万9000円(共にユキコ ハナイ) イヤリング6,750円、リ ング6,480円、ブレスレット5,400円(以上アビステ)
懐かしい一ツ木通りに降り立った二人。「銭湯があったんだよ」と宇崎さんは感慨深げ。阿木さん・ブラウス5万3000円、パンツ3万9000円(共にユキコ ハナイ) イヤリング6,750円、リ ング6,480円、ブレスレット5,400円(以上アビステ)

「尊敬って大事よね。愛情は時に支配的になるから」(阿木さん)

宇崎竜童さん・阿木燿子さんの家族の物語。

(2人の懐かしPHOTO GALLERY)

宇崎竜童さん・阿木燿子さんの家族の物語。

横浜から移り住んだ赤坂の部屋で。後に事務所として使用した。

宇崎竜童さん・阿木燿子さんの家族の物語。

学生時代の二人。初詣帰りに代々木の体育館前で。初初しく、晴れやか。

宇崎竜童さん・阿木燿子さんの家族の物語。

作詞家、作曲家として、売れっ子になった二人。それぞれ役者活動も。

宇崎竜童(うざき・りゅうどう)さん●音楽家。1946年、京都府生まれ。’73年にダウン・タウン・ブギウギ・バンドでデビュー。作曲家として2019年、阿木燿子さんと共に岩谷時子賞特別賞。’20年秋公開予定、映画『罪の声』に出演。

阿木燿子(あき・ようこ)さん●作詞家、プロデューサー。1945年、長野県生まれ。ライフワークとして「Ay曽根崎心中」をプロデュースし、上演を重ねている。2006年、紫綬褒章を受章。’18年、旭日小綬章を受章。『サンデー毎日』に対談を連載中。

『クロワッサン』1027号より

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