心の問題を整理する、アイデア源、お金の使い方を整える…識者が語る日記の効果。
撮影・青木和義 イラストレーション・フクダカヨ 文・板倉みきこ
日記の効果(1)
小高千枝(おだか・ちえ)さん
公認心理師。メンタルトレーナー、コーチ。女性の自立と自律の支援活動に注力。「小高千枝メンタルヘルスケア&マネジメントサロン」を主宰。
日記を書くことで、等身大の自分が見えてくる。
日記は、心の問題を整理するカウンセリングの手法と似ている、と公認心理師の小高千枝さん。
「個人の感情と原因を紐づけて解釈していくのがカウンセリング。心が乱れる原因には、心理的背景や環境、健康状態など様々ありますが、例えば日記に記された感情の変化、そのときの状況などを振り返れば、ネガティブな感情を引き起こした原因を、自分の力で客観的に見直せます。これは、カウンセリングと同様の作用です。日記を続ければ、同じような状況に陥ったときに読み返すことで解決法が見えたり、自分ではどうしようもないことに必要以上に悩むことも減っていくはず。日記は自分の強さと弱さを教えてくれ、自己承認に向かわせるツールだと思います」
日記の効果(2)
高原真由美(たかはら・まゆみ)さん
日本ライフオーガナイザー協会代表理事。日本人の暮らしをもっと楽にするため、思考の整理から始める、コンサルティング型片づけ支援のプロを育成。https://jalo.jp/
今使えるアイデアを、過去の自分が教えてくれる。
日本ライフオーガナイザー協会代表理事の高原真由美さんは、気になった言葉や情報があるたび、日々手帳の空きスペースに書き留めている。
「書き留めた内容が、後から読むと貴重なアイデア源になるんです。独立してこの仕事を始めてからの10数年分の手帳は、全てオフィスに置いてあり、アイデアが欲しいときにすぐ見られるようにしています」
さらに洋服の整理術に向いているとおすすめなのが、最近高原さんが始めた日々のコーディネイト撮影。
「まとめて見直すと気づきが多く、似合うものと似合わないもの、着ていないアイテムが客観的にわかります。コーディネイトに迷ったときにも使えますし、買い物の参考や、所持品の整理にも役立つデータです」
日記の効果(3)
八ツ井慶子(やつい・けいこ)さん
家計コンサルタント。日本中の家計を元気にする、をモットーに活動。お金に対する知識や、技術面をサポートする「生活マネー相談室」を主宰。
お金の遣い方を整えるには、家計簿より日記が役立つ。
自問自答できる日記は、自分の価値観が分かり、お金の遣い方を整えるために大いに役立つもの、と家計コンサルタントの八ツ井慶子さん。
「価値観や買い物の満足度は家計簿では分かりません。自分の基準が分かっていないと、納得するお金の遣い方は身につかないのです。そこで、自分を客観視できる日記の出番。毎日でなくても、大きな買い物や満足のいく買い物、逆に不満、後悔など、購入内容だけでなく、そこにまつわる感情や気持ちの変化を書き留めます。振り返ると、自分の失敗や満足のパターンが分かってきます。失敗を責める必要はなく、改善に役立てればOK。徐々にお金の遣い方が整ってきます。それだけでなく、自己肯定感も上がってくるはずですよ」
『クロワッサン』1026号より
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