くらし

『葬儀へのリモート参列サービス』が本格的にスタート。コロナ禍で変わる人々の意識とは?

今の時期お葬式に呼ばれたら「行っていいの?」と悩む方が増えています。高齢の方が集まりやすく、遠方から足を運ぶ人も多いお葬式はコロナ禍において出席の判断が難しいもの。葬祭ディレクター1級で公益社用賀会館館長を務める阪本さおりさんに詳しくお話しを聞きました。

会場では感染対策を徹底。葬儀の配信で故人とのお別れをすることも。

Q.今の時期、高齢者や遠方から人が集まる葬儀に出席していいものか悩みます。

阪本さん「最近とても多くご相談をいただく内容です。ご遺族の方は『呼んでいいものか』、出席者の方は『行っていいものか』とそれぞれ悩んでしまうケースは多いです。

そういった悩みを生まないためにいくつか始めたことがあります。

例えば、訃報。訃報を送ることも躊躇される遺族の方もおられるのですが、連絡しないと亡くなられたことを後で知って先方がより悲しまれたりするかもしれません。そのため訃報に『コロナの状況に鑑み 家族のみで執り行います』などと入れることで、受け取った側はその方が亡くなられたことを知ることができ、遺族側は参列を遠慮いただく旨をちゃんと伝えることができます。受け取る側はお別れの気持ちは参列以外の弔電や供花などでも伝えられるからです。

さらに、会館の中ではマスク着用を求める掲示を目立つところにしています。これは参列時にはマスクを外さないと失礼ではないのか?といった心配を参列者の方がしないよう考えてのものです。
他にも広いお部屋で参列者の方のお席の間隔をソーシャルディスタンスを保ちながら配置したり、お焼香で並ばれる際に間隔をあけるようにご案内をしたり、一度に人が集まり過ぎないように葬儀を一部、二部といったように分けて行うなど、ご遺族の方と相談をしながら細心の注意を払って葬儀を執り行っています。

とはいえ、それでもやっぱり出席をためらわれる、といった方のために先月より『リモート参列サービス』を開始しました」

パソコンやスマートフォンを使ってオンライン上で葬儀の様子を見ることができる。

阪本さん「『リモート参列サービス』は葬儀に足を運ぶことができない方でも故人様とお別れができるように始めたサービスです。スマートフォン、タブレットをご持参いただければ、会場に準備された、wi-fi、ホルダー、三脚などの機材を利用して葬儀の様子を撮影、配信をすることができます。機材は無料でご使用いただけます。

実は以前から海外在住の方などから葬儀の撮影や配信をしてほしいという要望はありました。ただ、『不謹慎じゃないか?』という声もありなかなか実現することはありませんでした。それが、昨今のコロナ禍を考慮して本格的にサービスがスタートしたことになります。

祖母の葬儀をリモート参列を利用された方からは『もしこのサービスが使えなかったら、一生おばあちゃんのお別れできなかったお葬式、という記憶になってしまっていました。きちんとお別れができて本当によかった』という声をいただいています。

葬儀は故人様とのお別れの大切な機会。後悔などが残らないよう、ご遺族の方のご要望を聞いた上でそれぞれ最適な形での葬儀提案をしています」

【お話を聞いた人・阪本さおりさん】
公益社用賀会館会館長。葬祭ディレクター1級(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)。ご遺族との葬儀打合せから葬儀の司会・進行や葬儀後の諸手続きアドバイザーにも従事しマルチに活躍。現在、結婚・出産を経て「既存の価値観に囚われずに、その家族のライフスタイルに合った葬送のかたち」をモットーに「事前相談」「終活セミナー」「家族葬セミナー」等々、
講師も行いながら葬儀ディレクターとして活躍中。今までの葬儀の担当件数は500件。

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