くらし

突破口のみつけ方は十人十色でいい――小西章子(エッセイスト)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、人生の背中を押してくれる言葉を味わいます。
  • 文・澁川祐子

突破口のみつけ方は十人十色でいい――小西章子(エッセイスト)

1979年3月25日号「今、いちばん欲しいもの」より

〈今、いちばん欲しいもの〉を聞くという大々的な読者アンケートをもとに構成された巻頭特集。ベスト3は、1位が「家」、2位が「お金」、3位が「時間」という結果に。お金よりも家がトップになるあたりに、当時のマイホームブームがうかがえます。

そのほかオーブン、車、システムキッチンなど現実的なものに交じって、赤ちゃん、恋人、夫以外の男友だちなど人間関係にまつわるものから、素直な心、20歳の肌、なんて答えまで。千差万別の答えに対し、それぞれにちょっとした解決策やおすすめの商品を提示しています。

そこで今回注目したのは、「生きがい」と答えた人へのアドバイス。助言者の小西章子さんは『スペイン子連れ留学』の著者として知られ、スペイン史に関する著作も手がけています。

7年の専業主婦時代を振り返り、小西さんは〈子どもだけの生活って、まず語らいが驚くほど少なくなる〉と語ります。子どもが寝た夜に読書をするなど自分だけの時間を確保するようにしたものの、外の人とのつながりが必要だという結論に。そこで家に学生を集め、英会話を教えるようになって救われたと言います。

ただ、働くだけがすべてではないと小西さん。突破口は趣味でもボランティアでも、その人それぞれでいいと語ります。とはいえ〈この時期に行動を起こすかどうかが、グチばあさんになるかどうかの境目ね〉と、最後にチクリと釘を刺すことも忘れてはいませんでした。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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