くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】夫婦喧嘩の終わらせ方がわかりません。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は長引く夫婦喧嘩を終わらせたいと願うお父さんからの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>

夫婦喧嘩が長引いて困っています。
仕事が忙しくなってきた頃のある日、2歳の娘が発熱で翌日幼稚園を休まざるを得なくなり、私が「明日残業しようと思っていたのに」と言ったことや、夜は妻と私で娘を寝かしつけますが、中々寝ずに妻がイライラしていたので、寝た後に私が「二人で見ると時間の無駄だから、俺が見た方がいいんじゃない」と言ったこと、その後もっと早く言ってくれれば良いのにと言われた口調に腹を立ててしまい、娘が使用しているパズルで叩いたことで、2カ月他愛もない会話はしていません。

話しかけられても無視されますし、1カ月前に強い口調で関係回復を図ろうとしましたが、「あんたと話さなくても大丈夫だし、話しかけないで」と言われました。仕事で遅くなるのを何日か前に言っていても、当日何も言わないことが許せないとも言われました。

仕事優先で自分勝手だとのことですが、どうすれば良いか分かりません。なお、娘の前では何事もないように振る舞っています。

(うっちー/男性/公務員をしている40歳です。)

山田ルイ53世さんの回答

いや、思わず笑ってしまいました。
申し訳ない。

うっちーさんと似た経験は勿論、筆者にも山ほどあるからです。
ただ一つ違うのは、筆者には相談者ほど、怒りのスタミナがないということ。
要は、続かない。

正直、よく1カ月もその状態が続くなと、ご夫婦の根気に頭が下がる思いです。
我が家では、喧嘩をしても、1日たりとも持ちません。

別に、夫婦揃って人格者というわけでもない。
大抵の場合、筆者から謝るのですが、別に夫が謝る方がとか、これが夫婦円満の秘訣だなどというつもりはありません。

「娘さんの前では何事もないように振舞っている」と言っても、自分を養ってくれる両親の空気を読むのは、子供にとって命綱。

大人などより余程敏感です。

相談者は“仕事が忙しくなってきた頃”と仰っていますが、奥様は忙しくないとお考えでしょうか。

主婦業というのは、労働。
歴とした仕事です。

小学生のとき、理科の授業で、植物の種を植え、それが成長し、花を咲かせ、実が生るまでのVTRを見ました。

NHKの教育番組でよく見掛ける早送りの“あれ”です。
リアルタイムで一部始終を観察するのは不可能。

魔法をかけられたように、ニョキニョキと育つ植物の様子に、全てを見守ったような気になったものです。

言ってみれば、これと同じこと。

仕事で外に出掛ける、一日のほとんどの時間を子育てから離れることが出来る相談者にとって(筆者も同じですが……)、非常に極端な物言いをすれば、子育ては「早送り」、「コマ送り」と言えます。

対して主婦である奥様は、子の成長を、一時も目を離さず、ジーっと見詰めているのです。

しかもリアルタイムで……これはしんどい。

子供も2歳となれば、ヨタヨタと勝手に色んな所へ歩いて行くし、何かの拍子に誤飲するかもしれない。

家具の角に頭をブツけないか、ちょっとした段差から転げ落ちないか。

心配は尽きません。
疲れます。

そこをまず、お互い理解しましょう。
理解すれば、お子さんが熱を出し、翌日幼稚園を休まざるを得なくなったとき、

「明日残業しようと思っていたのに……」
などと、言下に、

「俺の残業、仕事の足を引っ張るな!」
「〜しようと思ったのに、お前のせいで出来なくなった!」
と言いたげな口調にはなりません。

勿論、相談者の仕事も大事なこと。
ただ、奥様の“仕事”と上下や優劣をつけ、無価値なように思わせるのはナンセンス。
そんな線引きはありません。

2人で娘さんを寝かし付け、全てが終わってから、
「俺がやった方が……」
と言ったとき、
「もっと早く言ってくれればいいのに!」
と奥様が言ったのも御尤も。

何故最初から、
「君は先寝てて。今日は俺が寝かせるわ!」
と言えなかったのか……胸に手を当てて考えてみて下さい。

面倒臭くなかったですか?
1人で寝かし付けと思うと、負担に感じませんでしたか?
……そういうことです。

真摯に謝りましょう。
その喧嘩に、ゴールが、意味が、価値があるでしょうか。

謝り、折れてもいいと思える相手だからこそ、ご結婚されたのではないですか。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
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