スマホの困った!トラブル編。よくある悩みにプロが答えます。
イラストレーション・ヤマグチカヨ 文・重信 綾
Q1.SNSのアカウントを乗っ取られたようで、知らない写真とメッセージが投稿されていました。
「自分のあずかり知らないところでSNSに投稿されるといった、気味の悪い出来事が多発しています。こうしたアカウントの乗っ取りは、パスワードの使い回しが原因になることが多いです。残念ながら、SNSなどに登録したパスワードの漏洩はよく起こっており、一度漏れると闇サイトで売買されるなどして流通することも少なくありません。一つでも乗っ取られたら他のアカウントのパスワードも変更するようにしましょう。防衛策は、様々なサービスのパスワードを一つずつ違う、複雑なものにすること。「覚えられない」と思うかもしれませんが、覚えられないような複雑なものこそ、いいパスワード。紙にメモしたり、エクセルに打ち込んで保存しておきましょう。また、ID+パスワードに加えて、端末で本人確認を行う2段階認証を活用するのも有効です」(三上洋さん)
Q2.スマホをうっかり紛失してしまいました……。
「iPhoneの場合は、『探す』というアプリが便利です。スマホがある場所をマップ上で教えてくれたり、遠隔から紛失モードに切り替えてロックをかけたり、周りの人が気づくように音を鳴らしたりすることができます。アンドロイドにも、同様の機能を備えた『端末を探す』というグーグルの公式サービスがあるので活用してみてください。
もし、見つからず買い替えることになった場合は、バックアップを取っていないと連絡先や写真などのデータは手元に残りません。そんなつらい事態を避けるために、スマホ内のデータは定期的にクラウドにも保存しておきましょう。新しいスマホにデータを引き継ぐことができますよ」(池澤あやかさん)
Q3.充電がすぐになくなってしまい、外出中だとドキドキします。
「スマホのバッテリーは1〜2年で劣化する消耗品です。充電の減りが早くなってきたと感じたら、携帯電話会社で交換してもらったり、端末そのものの買い替えを検討しましょう。日頃からできるケアとしては、バッテリーは熱と衝撃に弱いので、直射日光が当たるなど熱くなる場所に置かないこと、衝撃に気をつけることがあげられます。また、電力の消耗が激しい画面の明るさを暗めに設定したり、省電力モードにすることで、バッテリーの消費を抑えることができます」(三上さん)
「電池の減りが早い場合は、出先でも充電できるモバイルバッテリーを持っておくと安心です。最近はモバイルバッテリーの貸し出しを行っているコンビニエンスストアもあるのでチェックしてみてください。借りた場所とは違う店舗でも返却することができ、とても便利です。また、パソコンやタブレットを持っている場合は、それを電源にして充電できます」(池澤さん)
Q4.スマホを落として画面が割れてしまいました。
「私も、これまでに何度もスマホを落として画面を割ったことがあり、自分で修理キットを買って直したこともあるのですが、最近のスマホは以前に比べてなかなか扱いが難しくなっていると思います。費用はかかりますが、修理に出したほうが安心で確実です。修理に対応してくれるお店はたくさんありますが、『アップルストア』など、公式や正規のショップを選ぶことをおすすめします。きちんと直さないとタッチした時の認識率が下がるなど、ほかの不調や不具合が起こる原因にもなりかねません。また、画面割れを防ぐための保護フィルムを貼ったり、落とした時の衝撃が和らぐような手帳型のケースを使うことも効果があります。きちんと対策しましょう」(池澤さん)
Q5.ショートメールで宅配便を装った詐欺のメッセージが届きました。
「ショートメールを使った詐欺は最近、増えています。今回の宅配便のように、『困った……』『アクセスして確かめなきゃいけない!』と受け手に思わせる、巧妙な内容のものが多いことが特徴です。パッと見て怪しいと気づけるものであればいいですが、本物だと思わせるようにうまく作られているケースも多いので、注意してください。わかりやすい見分け方としては、メッセージ内にURLのリンクがあるかどうか。あれば警戒を強めてください。クリックすると、スマホの情報を抜き取る不正アプリを配布する偽サイトに飛んでしまう可能性が。『重要なものだったらどうしよう』と気になってしまう人は、メッセージ内にあるリンクからではなく、必ず自力でサービスのサイトにアクセスして確認するようにしましょう。基本的には、無視しておいて何の問題もありません」(三上さん)
Q6.変な話ですが、もし私が突然いなくなったら毎月の支払いやデータはどうなるのでしょうか。
「亡くなられた方のスマホの取り扱いは大変難しく、問題になることも少なくありません。万が一の時のために『デジタル遺言』を残しておくと安心です。スマホの契約状況やお金のかかるサービス、信頼できる人にはスマホのロック解除パスワードなどを伝えておくと、後の対応がスムーズになります。また、多くのサービスはメールアドレスが起点になっていることが多いため、サービスごとに登録しているメールアドレスだけでも、メモなどで残しておくといいでしょう。たとえば、SNSのアカウントや、銀行口座を止める際に大変便利です。また、『これだけは見られたくない』というものがある人は、データを暗号化しておくようにしましょう」(三上さん)
三上 洋(みかみ・よう)さん●ITジャーナリスト。1965年、東京生まれ。文教大学非常勤講師。スマホやインターネットのセキュリティ、ネット事件などが専門。
池澤あやか(いけざわ・あやか)さん●タレント。プログラミングを得意とする。『NHK趣味どきっ!このまま真似るだけスマホ講座』(扶桑社)など著作多数。
『クロワッサン』1019号より
広告