「小商い」で50代から収入を得る方法。
撮影・山本ヤスノリ 文・知井恵理
得意を活かした「小商い」を増やせば、無理せず成功につながる。
“50代からの仕事に無理や我慢は 禁物! いつか行き詰まります。”
横浜の港の見える丘公園や外国人墓地にほど近い、山手エリアの一戸建て。堤眞理さんはこの自宅で、海外からの旅行者などを民家に泊めて対価をもらう民泊と、時間単位で場所貸しを行うレンタルスペースを営みながら、月10万円前後の収入を得ている。
「私は家の中のことをするのが好き。子どもが独立して部屋が空いたのと、観光地に近いという立地を活かして、自宅で収入につながることができたらなと、民泊やレンタルスペースを思い付きました。民泊は『エアビーアンドビー』、レンタルスペースは『スペースマーケット』と、フォロー体制がしっかりしている仲介サイトがあり、そこに登録すれば営業や宣伝、決済の手間が省けます。これならローリスクで始められそうだと思ったんです」
必要性と回収の見込みがあれば、思い切った出費も意味がある。
その当時は、自宅の1階をリフォームしたばかり。自分が心地よく暮らせて人も集まれる空間にしたいと、セパレートだったキッチンと洋室をつなげ、音が漏れにくい二重サッシにした。
リフォームの総費用は約480万円。かなり大きな出費だったが、「回収できる範囲」という見込みがあったそう。
「このときはまだ、具体的なアイデアはなかったんですが、家という好きな場所をベースに収入につなげられることをずっと考えてはいたんです。友人に相談したり自宅を何度も見直したりしているうちに、2階の空いた和室を客室に、1階を共有スペースにすれば民泊ができそうだとひらめきました」
さらに、友人とのふとした会話から場所を貸し出すレンタルスペースという事業があることを知る。
「1階をレンタルスペースとしても有効活用する。これならひとつ屋根の下で2つのお財布ができるなと」
準備を整えた2017年、民泊とレンタルスペースをほぼ同時にスタート。民泊は、口コミのレビューが評判になり始めてからは予約が続き、わずか数カ月で優良なホストに与えられる「スーパーホスト」に認定。現在は、レンタルスペースは週1〜2回、民泊は週末しか営業できない地域ながら月12〜14日稼働と、順調な運営ぶりだ。
実は「自宅に知らない人を招くのは怖い」という思いもあったが、仲介サイトのなかでも24時間サポート体制を取っている『エアビーアンドビー』を選びリスクを減らすように心がけた。
「若い人たちにも相談したら『今はシェアの時代だから、民泊やレンタルスペースは当たり前』と言われ、私は若者の考え方を採用したんです(笑)」
閑静な山手地区の一軒家を、気前よく貸すことで収入を得られた。
好きなことを活かせば、1ミリも頑張らずに稼ぐことも夢じゃない。
実は30代の頃から、輸入子ども服の販売やセラピールームの営業など自宅でできる仕事をあれこれ経験してきた堤さん。お金や起業関連のセミナーや相談会に参加し、得意なことや無理せず続けられること、身近なものを活かしローリスクでできることなどを研究した結果、自身のモットー「1ミリも頑張らずに好きなことで稼ぐ」を実現。
「その体験を活かして、『小商(こあきな)いコンサルタント』も始めました。相談者の適性や適職、営業や広告宣伝の方法などをアドバイスしています。花を仕事にしたいという方の相談に乗ったときに、最終的には片づけを中心としたライフスタイルコーディネーターが向いている、という結論に至ったことが。本人も、自分の強みを客観的に知ることができてよかったと満足していました」
コンサルタント業は、平均すると約4万円ほどの月収になる。
「こうした月に数万円の『小商い』も、7つ集まれば20万円超。お財布をたくさん持つって、いろいろな副業があるという感じで充実しますね。50代からの仕事に無理や我慢は禁物。いつか行き詰まりますから」
人生100年時代の理想は、好きや得意を生かし頑張らずに長く稼ぐこと。
「無意識に長年続けてきた趣味やお金を惜しまず使ってきたことに注目すると、小商いの手がかりになるものです」
“わずか月数万円の「小商い」も 7つ集まれば20万円超に!”
『クロワッサン』1014号より
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