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学校公演ならではの楽しみと不安感。│柳家三三「きょうも落語日和」

イラストレーション・勝田 文

学校公演ならではの楽しみと不安感。│柳家三三「きょうも落語日和」

芸術の秋、というわけなのか、さまざまなところで落語の催しが多い時期です。内心「芸術じゃないんだけど……」なんて思ったりもしていますが、お話をいただければ喜んで日本中におじゃまします。

ときおり話題にのぼる学校公演も秋がいちばん多く、どうかすると10日ほど旅をして、毎日あちらの学校、こちらの学校……と、小・中・高校を問わず連日の学校公演なんてこともあるくらい。

この学校でおしゃべりする楽しみは、初めて落語にふれる生徒さんがほとんどという環境で、どんなふうに噺を聞いてくれるかしらという期待感。それにほんのちょっとの不安感ね。

そしてもうひとつの楽しみが、後日生徒のみなさんが公演の感想や演者へのメッセージを書いてくれたものを、学校からまとめて送っていただけるケースが多いことです。「落語はお年寄の娯楽だと思っていたけれど、案外わかりやすい言葉で楽しめました」とか「また機会があったら寄席に行きたいです」なんて書いてあると、演者にとっても生徒さんにとっても良き“落語日和”だったのかなとうれしくなります。

さて、これはある進学校での公演当日。控え室には勉強熱心な校風らしく、後日の感想ならぬ“事前の予習”をしたうえで今日に臨む心構えのレポート!の束。一番印象に残ったのは「予習時間のDVD鑑賞で柳家花緑さんの落語を見て面白かった。先日、柳家小三治さんが近所の市民会館に来たのを見て面白かった。今日の三三さんも同じ“柳家”だそうで、どんなものかお手並み拝見です」と。……ええ、頑張りましたとも。

柳家三三(やなぎや・さんざ)●落語家。公演情報等は下記にて。
http://www.yanagiya-sanza.com

『クロワッサン』1009号より

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