【カンニング竹山さん×元村有希子さん 対談】福岡という街の魅力【2】
福岡市、北九州市で生まれた2人が改めて考える、その“愛され力”とは。
撮影・MEGUMI ヘア&メイク・今村早由里(ヘアメイク特攻隊/元村さん) 文・平井莉生
自然があって、人の距離が近い。福岡の暮らしやすさ。
竹山 戻りたいなと思うようになったのは40歳過ぎてからです。海もあって山もあって、住むのには一番良いところだと思っています。もしも子どもがいたら福岡で育てたいと思ったでしょうね。福岡で育てば「上京したい」という思いも生まれるだろうし、人生の選択肢が増えていいなと思います。
元村 街の人がかまってくれるというところもありませんか。東京の人は、放っておくのが礼儀だというところもあるけれど、福岡の人は妙に人懐っこい。東京では歩いている竹山さんを見つけても黙っているかもしれないけれど、福岡だと「握手して!」ってくるでしょう。
竹山 あります、あります。「帰ってきたと!」と言ってもらいますね。
元村 インフラはほぼ東京と変わらないんだけれど、そこに住んでいる人が気取らなくて、それが福岡らしいというか。
竹山 程よい距離感だと思いますね。慣れないと、嫌な人は嫌かもしれないですけれど(笑)。やっぱり東京よりも、土足で踏み込んでくるようなところはあると思うから。
元村 屋台でも、隣の人に話しかけられないことがないですよね。
竹山 僕もこの前いつもの屋台で飲んでたら、ミュージシャンの若者たちと隣になって、「竹山さん、僕らそこのライブハウスでライブやったんですよ。いつか東京行きたいんです!」って。うれしくて全員分おごりました(笑)。
北九州市から見た福岡市、その独特な関係性。
元村 私は北九州市で生まれて育ったので北九州愛が強いんです。人口も50年前は、北九州104万人くらい、福岡は83万人くらいで、福岡は北九州に追いつけ追い越せという感じでした。同じ県に2つ政令指定都市があるっていうのも珍しくて、福岡は商業の街、北九州はものづくりの街としてすみ分けがあった。それがいつの間にか北九州の人口が減って、今や福岡160万、北九州94万人ですよ。それでも私は北九州市が好きなんです。どこに行っても空いてるし(笑)、インフラは強い。住むんだったら北九州もいいですよ!
竹山 芸能界福岡県人会も最初は地区ごとに座っていましたよ。福岡、北九州、久留米というように。初めは罵り合って盛り上がって、でも最後はみんなで肩組むっていう(笑)。
元村 ところで竹山さんの贔屓のうどん屋はどこですか? 北九州には『資さんうどん』というチェーン店があって、肉うどんやごぼ天うどんと一緒にぼた餅を食べる。北九州特有の文化です。
竹山 僕は『牧のうどん』! 福岡の人はうどんにはこだわりますよね。
元村 福岡はラーメンでしょ、って思っている人がいまだに多いと思うんですけれど、実はうどんなんですよね。
福岡出身者が、 福岡を好きなわけ。
竹山 そもそも福岡の人の郷土愛が強いのは、悪い思い出がないからなんじゃないでしょうか。「ごはんが美味しい」「美男美女が多い」「遊ぶところがたくさんある」。そんなふうに他県の人が言ってくれることを、実際に住んでいる人も実感しているんだと思うんですよ。
元村 出身地を聞かれて、「福岡」って答える時にちょっと小鼻が膨らむ感じありませんか?
竹山 そうですね(笑)。そうやって我々が自信を持って言えるのは、先人が頑張ったから。県としての財政も潤ってるし、芸能の世界でも、鮎川誠さんとか“かっこいい大人”がいてくれますからね。
元村 「ああ、変わったな」と思う部分はありますか?
竹山 ここ10年で交通事情も、若者が遊ぶところも変わりましたよね。僕が上京する前は、若者が遊ぶのは親不孝通り、おじさんたちは中洲でした。次は西通りなんかに若い人が好きそうなお店がたくさんできて盛り上がって。
元村 城南エリアの開発も目覚ましいです。私は、通っていた大学が郊外に移転してしまって、少し切ない気持ち。思い出深い六本松キャンパスの跡地には『蔦屋書店』ができました。