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イタリアの料理は土地によって色が違う――編集部

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は紀行文から、イタリアの食文化にふれてみましょう。

文・澁川祐子

1978年8月10日号「南イタリアに、トマトの故郷を訪ねて。」より
1978年8月10日号「南イタリアに、トマトの故郷を訪ねて。」より

イタリアの料理は土地によって色が違う――編集部

今回の名言は、おいしいトマトを求めて南イタリアを訪れた紀行文の冒頭から。簡潔な一文だけに「料理の色が違うってどういうことだろう」と思わず引き込まれました。

その違いはというと、北のミラノやトリノ周辺ではフランスなど国境を接した国々の影響が強いため、牛乳やチーズ、生クリームを使った料理が多く、全体的に白っぽい。少し南下したジェノバあたりは、ほうれん草やバジリコをたくさん使い、ソースも材料も緑の野菜が多い。

そしてローマから下った南イタリアでは、記事のタイトルのとおり、なんといってもトマトが主。北から白、緑、赤……とくれば、思い浮かぶのはイタリア国旗。色の並びまでは同じではありませんが、料理を地方によって、国旗の三色にざっくり分けられるということです。これは覚えやすい!

もちろんメインテーマであるトマトの話も充実。

トマトは、イタリア語で「ポモドーロ」。ポモは実、ドーロは金の意味。16世紀にトマトがイタリアに入ってきた当時、トマトはサクランボほどの黄色いものだったらしいという歴史ネタから、ナポリの人々のトマト好きエピソードまで話題は多岐にわたっています。

トマトソースやトマトピュレのレシピもあり、冒頭で引き込まれて以降、じっくり通読。単なるトラベルガイドやグルメ紹介にとどまらない、読み応えのある誌面でした。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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