「気分よく暮らせるようにいろいろと線引きしていますが、考えてみたら、わたしのほうが加害者かもしれません」
と語るのは、『工芸喜頓』店主・石原文子さんだ。共に店を経営する夫は物欲も所有欲もなく、整理整頓も得意。唯一の趣味であるオーディオは店の事務所に置くよう交渉した。
「家にあるものは、わたしの好きなものばかりなので、『いいかげんにしたら』と言われることもあります」
小学校に通う子どもたちは、まだまだ手がかかるものの、自分の持ち物は自分で片づけられるようになってきた。
「長男は思い出があるからと、何でも取っておきたがる。でも増える一方なので、役割を全うしたものには、ちゃんとお別れしようねと話しています」
自身も増えすぎたものは上手に手放すよう心がけている。
「器はご近所の方に差し上げることも多いですね。モノハラ加害しないためにも、モノを持つ以上は、美しく飾ったり、使い切ったりしていきたいです」