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今、知っておきたい、『キャッシュレス』時代への備え。

現金払いからキャッシュレスへと、大きく変わりつつある決済方法。まだまだ現金がないと不安な私たちは何をどうすべきなのか、専門家、消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんに聞きました。

イラストレーション・山下カヨコ 文・斎藤理子

それぞれのツールの特徴は?

キャッシュレス決済の代表的ツールとしては、クレジットカード、電子マネー(交通系・流通系)、スマホ決済アプリ(QRコード決済アプリ・タッチ決済アプリ)がある。左の表はその詳細。

「あれこれ使うよりも、ひとつに絞ったほうが管理しやすく、ポイントも貯まりやすい。タッチするだけの事前チャージ型電子マネーやスマホアプリは使い勝手がいいと思います」

自分が普段使うお店やネットサービスで使えるものを選び、いくつかを利用してみて取捨選択を。

●クレジットカード・デビットカード

国際ブランドなので利用できる店舗が多い。最近は各ブランドとも店側にカードを渡すことなく本人が端末にタッチする決済(タッチ決済。コンタクトレス決済などともいう)に移行し、安全面をより高める傾向に。ポイント還元率はクレジットの通常カードで0.5〜1%。デビットカードは銀行口座にある残高内で即時引き落としになり、1日の利用上限額も設定できるので管理がラク。国際ブランドデビットの場合は加盟店で、ほぼクレカと同様に使える。ポイントやキャッシュバックも。

●電子マネー

Suica、PASMOなどの交通系と、nanacoやWAON、楽天Edyなどの流通系がある。事前チャージ型だが、現金でその都度チャージする方式とクレジットカードを紐づけるオートチャージ方式がある。使える店が多いのがメリット。流通系は100〜200円につき1ポイントがつく。交通系は加盟店での使用のみつくことが多い。カードのほかスマホだけあればいいモバイルアプリもある。また、QUICPayやiDなどクレカを紐づけて後払いできるタイプの電子マネーも。

●モバイル(スマホ)決済アプリ

[コード(QRコード)決済アプリ]
スマホにアプリをダウンロードし、大本の決済手段を設定し、スマホにコードを表示することで決済できる。店舗が提示するQRコードを客が読み取って金額を入力する店提示型と、客がコードを提示し店がそれを読み取る消費者提示型がある。決済は事前に金額をチャージするタイプと、後日カード決済になるタイプ、銀行口座から即時引き落としになるタイプ、携帯キャリア料金と合算するタイプなど、アプリによって異なる。ポイントアップキャンペーンが多いのが魅力だが、使える店の数はまだ少ない。

*代表的コード決済アプリの種類は、au PAY、origami Pay、d払い、PayPay、メルペイ、LINE Pay、楽天ペイほか、ゆうちょPayなどの銀行系アプリ。

[タッチ(非接触型)決済アプリ]
おサイフケータイ、Apple Pay、Google Payなど。クレジットカードや電子マネーを登録し、端末にタッチするだけ。アプリを立ち上げずに利用でき、コード決済より使える店が多い。

●割り勘アプリ

SNSやアカウントを通じて集金や送金ができる。LINE PayやKyash(キャッシュ)、pring(プリン)などモバイルウォレットアプリが代表的。最近はPayPay、楽天ペイにも送金機能がついた。受け取った金額の払い出しはできるものとできないものがあり、払い出しには手数料がかかる場合も。

これから日本はどうなっていく?

「ほぼ100%キャッシュレスの国もありますが、偽造通貨の心配などもほぼなく、いつでもどこでも現金を下ろせて使える利便性に優れた日本が完全なキャッシュレス社会になる可能性は低いと思います」と、松崎さんは予想する。今後はキャッシュレスの比率が高まりつつ、現金との併用という形が続きそうだ。

「キャッシュレス決済を取り入れるなら、カードやスマホを落としたり盗まれたりした場合の対策を知っておくことが重要です。ID、パスワードは忘れないよう書き出して保存するなどしっかり管理を。自信がない人はチャージ型を利用して、クレジットカードや銀行口座にやたらと紐づけないほうがいいですね」

指で触れるだけでどんな場所でも決済。そんなに遠くない将来かも?
指で触れるだけでどんな場所でも決済。そんなに遠くない将来かも?

『クロワッサン』1002号より

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