アップデート必須の最新経済用語。知っておくときっと得します!
イラストレーション・三東サイ 文・室田元美
【SDGs】
●えすでぃーじーず
2015年、国連で採択された「持続可能な開発目標」のこと。持続可能な社会をめざすために環境問題、脱貧困などに各国が力を合わせて取り組む。
SDGsとはSustainableDevelopment Goalsの略で、2016年から2030年までの国際目標として持続可能な社会を作ることを掲げました。環境、ジェンダー、教育なども含め、よりよい社会を目指すために17の大きな目標(ゴール)と169の細かい具体目標(ターゲット)が定められています。日本企業も協力しているので今後の生産消費の主要な流れになってくるでしょう。身近で具体的なところでは、レジ袋の有料化や家電の省エネ化などがあり、企業のHPなどに取り組みが解説されているケースもあります。前向きな企業の商品を買うなど自分なりの社会貢献もできるでしょう。SDGsの推進企業を組み合わせた投資信託なども出ています。
【ジェンダーギャップ指数】
●じぇんだーぎゃっぷしすう
世界経済フォーラムが毎年公表している、社会進出度の男女格差を測る指数。教育、健康、政治への参画度、企業での活躍などに基づいて算出される。
日本では、男性を1とした場合、女性の社会進出度はどのくらいの水準でしょうか。残念ながら日本はG7でダントツに指数が低く、最下位。2018年は前年より少し上がったものの世界149カ国のうち110位(スコア0・662)でした。日本人女性は学歴も高めで能力もあるにもかかわらず、賃金は男性に比べて低く、政治や経済のトップはまだほとんどが男性です。子育てや介護を一手に引き受けキャリアを断念してしまうことも珍しくありません。
日本は労働力不足で、政府も女性の力を頼りにしています。令和は女性の底力を見せる時代ではないでしょうか。女性が生き生き活躍できると、世の中も幸せになるでしょう。
【教育無償化】
●きょういくむしょうか
10月から行われるのが保育園、幼稚園など幼児教育の無償化。近い将来には大学、大学院、専門学校、短大など高等教育の無償化も予定されている。
少子高齢化社会で、出生率の低下に歯止めがかからない現状ですが、その理由には経済的な不安が大きいと言われます。そこで家計の経済的負担を減らすために考え出されたのが、教育無償化です。この10月から始まるのが幼児教育の無償化。無認可の保育園、幼稚園でも差額分を負担すればいいことになります。基本的に所得制限がないのも特長です。大きなお金がかかる高等教育でも、返さなくてもいい「給付型奨学金」や授業料の減免が2020年4月にスタート予定ですが、使える人が限られるなど課題もまだあります。
とはいえ、貧困率の高い母子家庭などで高等教育を受けさせたい人には朗報です。この流れは今後も進展していくでしょう。
【ベーシックインカム】
●べーしっくいんかむ
だれもが無条件に、最低限の生活を送るための費用を受け取ることができる制度。貧困や格差是正への対策としてさまざまな国で検討されている。
赤ん坊から高齢者まで国民ひとりひとり全員に、無条件に毎月必要最低限の生活費を支給するしくみが、ベーシックインカム(BI)です。かなり以前から貧困や格差是正には有効とされ、フィンランドなどで実験的に取り入れられたり、海外の政治家の間でもしばしば議論になることがあります。ただし導入している国はまだひとつもありません。
「人生100年時代」と言われるいま、長くゆっくり働く必要があり、またAI化が進むことで仕事が減れば、失業状態の人が恒常的に存在し得ることに。老後の心配をせずに安心して暮らせるベーシックインカムは、今後日本でも検討される余地はあるでしょう。もちろんもっと豊かな暮らしをしたい人は、自分で働いて補うこともできます。
【自治体の女性センター】
●じちたいのじょせいせんたー
年金、医療、子育て、相続についての悩みや法律相談には、自治体が設置している女性のための相談窓口がある。無料で相談に応じてもらえる。
相談というと法律なら弁護士、家計ならファイナンシャルプランナーなどを思い浮かべますが、もっとも身近な自治体にも女性のための相談窓口を設けているところがたくさんあります。内閣府の男女共同参画局のホームページには「女性センター」として各自治体の相談窓口が紹介されています。だれに相談すればいいかわからない年金や社会保険、住宅ローンや家族のこと、介護、職探し、職場のセクシュアルハラスメントやDVなど、さまざまな悩みにも無料で相談に乗ってくれたり、そこから専門家につないでくれることもあります。住まいのある自治体のHPなどで確認し、利用できるサービスをおおいに活用しましょう。
【消費者物価指数】
●しょうひしゃぶっかしすう
物価指数には消費者側と企業側の2種類がある。消費者物価指数は私たちがふだん買うものの値段を指標化させたもの。インフレ、デフレを判断できる。
よく聞くけれどわかりにくい用語のひとつです。消費者がよく買うものの物価を指数で示したものでCPIと呼ばれ、総務省が毎月末に出しています。「生鮮食品を除くもの」「生鮮食品とエネルギーを除くもの」などいくつかの区分があり、消費者物価指数は基準の年を100として、上がったか下がったかでインフレ、デフレがわかります。これを毎年2%上げていくことでデフレから脱却し、ゆるやかなインフレを目指したのがアベノミクスでした。経済成長するとGDPが増え消費活動が活発になり、インフレになるというシナリオでしたが、人口減でかつ可処分所得が減っており、ものも余る時代なのでみんなが買わなくなりました。したがって消費者物価指数の前年比の伸び率はまだ1%にも満たず、デフレからの脱却もめどは立っていません。
『クロワッサン』1002号より
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