何が何でも床にモノを置かない、プロの暮らしから学ぶ収納術。
撮影・柳原久子 文・一澤ひらり
【掟1】生活のあらゆるモノには帰る場所がある。〜シューズクローゼット〜
ここはいわば須藤家の心臓部。
「リビングに収納場所がないので、家族で使うものはここにまとめて収納しています。常備薬、ティッシュ、工具類、娘の学校用品などを、100円ショップや無印良品などで買ったカゴやケースを使い、取り出しやすさを心がけます」
白で統一された収納ケースがきれいに並べられ、すべてラベリングされているのでひと目でわかる。
「使ったらここに戻すだけなので、娘も夫も置きっぱなしにはしません。よく使うものは取り出しやすい腰の高さぐらいの所に置いています。娘が使うものは娘に合わせた高さに。工夫したのは、梱包セット、お墓参りセット、旅行セットなど、使用目的に合わせてひとまとめにしたこと。必要な時はそのボックスを取り出すだけです」
【掟2】シンクやコンロ周りにも何が何でもモノを置かない。〜キッチン〜
キッチン、ことにコンロ周辺は料理中に油が飛んだり、煮汁がはねたり、汚れやすい場所。
「便利なので、脇に調味料を置いている人も多いと思いますが、油でベトついて毎日の拭き掃除が大変です。出しっぱなしにせず何も置かなければ、調味料を持ち上げていちいち拭く手間なく、全体をササッと拭き上げればいいだけです。何のストレスもありません」
そのとおり須藤家のキッチンには何も置かれず、すっきりとして清潔感にあふれている。
「シンクやコンロ周りに出ているものを収納してゼロにすると、毎日の掃除がすごく楽になります。これはとても大切なことで、面倒くさくなることはできるだけ取り除きましょう。何もないキッチンを掃除する気持ちよさといったら!」
最初だけはしっかり片づけをしなくてはならないが、後は掃除の煩わしさから解放されて家事がスムーズになり、時短にもなる。
【掟3】洗面スペースは、モノを置かないホテルのように。〜バス&トイレ〜
「私の理想はホテルのように清潔でクリーンな水回りなんです。そうはいっても洗面所は朝の忙しい時に使うものが集中しているため、ごちゃごちゃになりがちなので、個人別に収納ボックスに入れています。すぐ取り出せてパッと戻せるので便利ですよ」
家族が頻繁に使う洗面所は、それぞれが使いやすいように工夫することが大切だ。洗面所が脱衣所を兼ねていたり、洗濯機を置いていることも考慮する。
「家族がここで着替えをするので、洗面台下の収納にはランドリーバスケットや洗濯ハンガーを収めています。洗濯洗剤は背面の観音開きの戸棚、かがまずに届くところにあるので出しやすいです」
一見何もないように見える洗面所も、ベストの場所にベストのものを置くために、しっかりとカテゴリー分けされて収まっている。見せない収納の理想美がここに。
【掟4】脱いだものを床に置かない。〜ウォークインクローゼット〜
須藤さんはシャツやデニムなどまだ洗濯しなくていい服、毎日着ているパジャマなどは、それぞれ一時保管場所を設けている。
「ベッド近くの収納ボックスに、パジャマと部屋着を入れています。夫のふだん着はクローゼットの一番手前のケースに置き場所を作っています。服を脱ぎっぱなしや置きっぱなしにする人は、このような一時的にしまえるスペースがないからだと思うんですよね」
夫婦用のウォークインクローゼットは左側がハンガー収納、右側はケース収納になっている。
「オールシーズン着られる服を基本に、『クローゼットを満タンにしない』というルールですっきり!」
須藤昌子(すどう・まさこ)さん●整理収納コンサルタント。整理収納スタイリングレッスン、コラム執筆など多方面で活躍中。著書に『リバウンドしない収納はどっち?』(KADOKAWA)など。
『クロワッサン』1001号より
『クロワッサン』1001号より
広告