からだ

血管の役割を知っていますか? 血管は生命を守り、健康と若さを保つ交通網。

  • 文:韮澤恵理 イラストレーション: 秋葉あきこ(構造図)、ヤマグチ・カヨ 

[ 毛細血管の構造と仕事 ]

血管の99%を占める毛細血管は動脈や静脈とは構造も働きも違う。
目に見えないけれど重要な役割をもつ毛細血管はこんな仕組み。

毛細血管の構造

毛細血管は目に見えない細い血管。基底膜という薄い膜で覆われていて、内側に内皮細胞が並んでいる。血管壁に巻きつくように点在している周皮細胞は、毛細血管が傷ついたときにコラーゲンを作って傷を修復するアシスタント機能をもつ。

ダメージを 受けた毛細血管 (粘膜の場合)

毛細血管は末端の細胞にも張り巡らされている。右の図は胃内部の絨毛(じゅうもう)。一本一本に毛細血管が届いている。血管が正常なら必要な血液が届き、粘膜液も十分に。しかし、血管がゴースト化すると絨毛が衰え、粘液も減ってしまう。

[ 元気な粘膜の毛細血管]

[ ゴースト化した粘膜の毛細血管 ]

酸素や栄養素を届けて、老廃物や二酸化炭素を回収

毛細血管は末端の細い血管というイメージがあり、実際に目に見えないほど細く、直径が約200分の1〜1 00分の1mmしかありません。

しかし、全身の血管のおよそ99%は毛細血管で、指先などの末端はもちろん、内臓の細胞ひとつずつにも、皮膚や粘膜にも酸素と栄養を届け、老廃物を回収する大事な役割を担っています。

毛細血管は内皮細胞だけの一重構造で、内皮細胞同士のわずかな隙間から血液が少しずつ漏れ出すことで、栄養や酸素を細胞に手渡しています。逆にここから二酸化炭素や老廃物を回収して血液に乗せ、静脈へと送り出すのです。

これがうまくいくと細胞が活性化し、本来の役割を果たすことができます。主要な臓器はもちろん、粘膜、皮膚、筋肉などすべての組織も同様なので、健康や若さを保つのは毛細血管と言っても過言ではないでしょう。毛細血管は一部だけ劣化することは少ないので、検査(参考記事)で状態が悪ければ、全身の毛細血管も衰えている可能性が高いです。

根来秀行

監修

根来秀行 さん (ねごろ・ひでゆき)

医師、医学博士。

東京大学大学院医学系研究科内科学専攻博士課程修了。ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授、フランス国立保健医学研究機構客員教授、杏林大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、最先端の臨床・研究・医学教育の分野で国際的に活躍中。『毛細血管は増やすが勝ち!』(集英社)、『ホルモンを活かせば、一生老化しない』(PHP研究所)、『老けない、太らない、病気にならない 24時間の過ごし方』(幻冬舎)、『【図解】毛細血管が寿命をのばす』(青春出版社)など著書多数。

『Dr.クロワッサン 毛細血管を増やして、血流力をつける!」(2018年11月15日発行)より。

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