汗、皮脂、乾燥でのメイクくずれ。涼しげ顔を、どうキープする?
撮影・岩本慶三 文・今井 恵
朝の皮脂を抑える肌づくりで、 化粧くずれはほぼ防げる。
日本気象協会の予報では、この夏の平均気温は例年並み。ということは、かなりの猛暑を覚悟すべき!? ただでさえ湿度が高く、不快な日本の夏。汗や皮脂、さらにエアコンによる乾燥と、肌にもつらい季節である。暑さに負けず、化粧くずれを防ぎ、涼しげな顔をキープするにはどうすればいい? 美容のエキスパートに、くずれないメイクで快適に過ごすハウツーとこの時季に愛用するコスメについて聞いた。
黒田愛美さん(以下、黒田) 夏の肌悩みといえば、やはり化粧くずれですね。
野毛まゆりさん(以下、野毛) 私もくずれやすいのが悩み。でも、昔、美容部員として百貨店で働いていたので、くずれない仕込みのケアはまかせて! 美容部員はどんな環境でも、肌がきれいに見える、くずれないメイクが鉄則ですから。
黒田 夏でも肌内部が乾燥しないよう、しっかり保湿はしたい。でもそれをすると、肌表面がベタベタでくずれるという。夏はむずかしいですよね。
野毛 そう、保湿は大事なんだけど、やりすぎると「表層雪崩」が……。
レイナさん(以下レイナ) 私も撮影の現場では、くずれにくいメイクが基本なのですが、監督や編集者から「ツヤッとした肌に見せたい」と相反するオーダーがきたり。だからこそ、いろいろ工夫していますね。
メイクくずれを防ぐには、 朝のスキンケアが鍵。
野毛 そもそもメイクくずれって、汗や皮脂の過剰な分泌が原因ですよね?
黒田 そうです。でも反対に、乾燥もメイクくずれを引き起こします。乾燥で肌の表面がかさかさしていると、まずファンデーションがきちんとのらない。そうすると、剥がれやすくなってしまうんですね。
レイナ 生理前も化粧がくずれやすくないですか? 自律神経の影響かな。
野毛 たしかに生理前はニキビができやすかった。毛穴も目立った気がしますが、それがホルモンに関係あるかどうかはわかりません。
黒田 私自身は皮脂の分泌とホルモンバランスに、あまり密接な関係はないと思っています。
レイナ でも40代以降、特に更年期の症状が出始めると大量の汗をかくことがあるから、それによるメイクくずれはありますよ。
野毛 そこに暑い夏が重なると、なおさら大変ですね。
レイナ 野毛さんのメイクくずれをしない「仕込みのケア」って、具体的にどのようにするんですか?
野毛 仕込みは主にメイクの時。でもスキンケアも大切ですね。とにかく肌にすぐに浸透し、表面がさらっとするものを選ぶのがコツです。
黒田 何を使っているんですか?
野毛 ウマプラセンタエキスを配合したオールインワンジェル(※1)なんですが、塗った後に皮膜感がないんです。乾燥するからと美容液、クリーム、下地、ファンデーションと肌に何層も重ねると、どうしてもくずれやすくなります。ジェルひとつでしっかり保湿できれば、その分リスクも減らせる。
レイナ 肌の上にのっているものが少なければくずれにくくなりますよね。
野毛 成分が肌の奥までしっかり入るから、毛穴も気にならないんです。私、拡大鏡を持ち歩くぐらい、毛穴には敏感ですから(笑)。お直し時は、最後にミスト(※2)をシュッと吹きかけるとメイクが定着します。
レイナ 私はさらさらの肌も気持ちがいいと思うけど、肌にはある程度ツヤがあるほうが好きなんです。しかも皮脂くずれより、乾燥くずれが気になるので、アクセーヌやディセンシアといった敏感肌用のべたつかないローション(※3)をしっかり浸透させます。ここでポイントなんですが、一度に大量につけると、表面がベタベタしがちなので、少量ずつを軽くハンドプレスしながら、しっかり入れ込む。これで肌はかなりしっとりします。夏に欠かせない日焼け止めもジェルタイプを選びます。トータルではいろいろ重ねていますが、ひとつひとつをしっかりなじませればくずれる心配はいりません。
野毛 だからレイナさん、お肌がきれなのね。ところで黒田先生は、一日中診察室にいると肌が乾きませんか?
黒田 そうなんです。乾燥も化粧くずれの原因になりますから、私は皮膚科医が作ったニキビ肌にも使えるミネラルファンデーション(※4)を薄く塗り、診察の合間にエッセンスミスト(※5)でシューッと保湿しています。