Vol.51 下半身の冷えがひどくつらいです。【40歳からのからだ塾WEB版】
腰痛を抱えている人にも多いという「下半身冷え」。その正しい対処法とは? 長年、冷えの診療に当たっている医師の伊藤 剛医師に聞きました。
文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子
加齢により生じやすい下半身冷え
腰やお尻のコリが一因になっている!?
北里大学東洋医学総合研究所の伊藤 剛医師によると、足を温めてもすぐに冷え、上半身ばかり熱くなってしまう。いわゆる『冷えのぼせ』症状は、下半身型冷え症に分類され、漢方では『上熱下寒』といいます。
「このタイプは、男女ともに中高年に多く、もともと四肢末端型などの冷え症だった人が、加齢とともに下半身型冷えを合併してくることもよくあります」と伊藤医師。
下半身型冷え性は腰痛を抱えている人にも多い冷えで、主な原因は「腰やお尻の筋肉のコリ」と、伊藤医師。
「特に仙骨と股関節をつなぐ梨状筋という筋肉にコリが生じると、後ろから出る坐骨神経が圧迫され、その中にある交感神経が緊張して、下肢への血流を減らしてしまうことが一因です。梨状筋は、長年の姿勢の悪さや運動不足、腰痛、骨粗鬆症の痛みなどが影響して硬くなります」
また、別の原因として、ふくらはぎの下肢静脈の流れがうっ滞しているために冷える場合もあるそうです。
下半身型冷えの正しい対処法、やっていいこと、いけないこととは?
では、下半身型冷え症に有効な対処法とはどのようなものでしょう。
「下半身型冷え症では、下肢は冷えていても、体全体の熱量は普通の人と変わりません。そのため、下半身の血流が減るぶん上半身の血流が増えて、顔だけほてったり汗をかきやすくなったりするわけです」(伊藤医師)。よって、足を温めると、かえって上半身ののぼせを悪化させてしまい、逆効果になることもあるそうです。単に温めるだけでは解消しない冷えもある! 覚えておきましょう。
対処法では、梨状筋のコリをほぐして下肢への血流を取り戻し、上下のアンバランスを解消することが重要になります。コリが強い場合には、筋肉を緩め、血流を改善する、八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などの漢方薬や、指圧や鍼灸も有効だそう。
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