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出血や、婦人科での診察について、専門医が疑問に答えます。

月経周期が変動する40代、50代。なかでも不安になるのが、突然の出血です。出血時の診察や検査など、8つの疑問を、更年期医療の第一人者である小山嵩夫さん、国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 科長の加藤友康さん、倉敷平成病院 総合美容センター 婦人科部長の太田郁子さんに聞きました。

撮影・森山祐子 イラストレーション・小迎裕美子、川野郁代 文・越川典子、青山貴子

Q.過多月経と診断されました。漢方だけで治したいのですが。

漢方で症状が改善した人もいますが、漢方が使われ始めた約2000年前は、更年期障害や月経異常という概念がない時代です。現在でも、漢方が過多月経に効果があるのか、副作用がどうかなど、血液検査や画像検査などによる客観的なデータがありません。処方するには専門の知識が必要ですので、漢方薬を専門とする医師を選んだほうがいいですね。同時に、エビデンスのある西洋薬を含めて選択肢を広げ、最良の治療を選択しましょう(太田郁子さん)。

Q.筋腫の手術をするかどうか、決心がつきません。

筋腫の種類によって、選択肢は変わります。筋腫は、子宮の内側にできる粘膜下筋腫、子宮の筋肉の中にできる筋層内筋腫、子宮の外側にできる漿膜下筋腫の3つがあって、粘膜下筋腫は小さくても過多月経の症状が強く出ます。1cm大でも貧血があれば、手術を考える必要があるでしょう。まずは、MRIなどで子宮内腔への突出度を検査したほうがいいですね。
筋層内筋腫と漿膜下筋腫の場合、6cm以下で貧血がなければ経過観察でもいいのですが、貧血があれば薬物治療か手術を検討することになります。手術を行う場合でも、筋腫だけを取り除くケースと、子宮ごと摘出するケースがあって、子宮全摘の場合は、その後の子宮頸がんと子宮体がんのリスクはゼロになり、かつ、卵巣がんのリスクも減らすことができると言われています。卵巣が残っていれば、女性ホルモンの分泌はなくなりません。人生は更年期以降も続くので、これから先を快適に過ごすことも考えた上で治療法を選択することが大切です(太田郁子さん)。

Q.かかっている医師と、うまくコミュニケーションがとれません。

医師との良好なコミュニケーションは、安心して治療を受けるためにも重要なこと。とくに初診のときは、医師もできるだけ多くの情報が欲しいのです。スムーズに診察をすすめるためには、自覚症状や経過、病歴などを事前にまとめておくとよいでしょう。不安や疑問も紙にまとめ、積極的に聞いてください。その答えも、メモしておくと安心かもしれませんね。
とはいえ、人間同士、ウマが合わないことも。もし納得できないと感じたら、よりよい治療法のために、セカンドオピニオンを他の医師に求めることもいいですね。医師も快く紹介状を書いてくれるはずです(加藤友康さん)。

Q.自治体の婦人科がん検診のとき他の検査も一緒にできますか。

自治体が行うがん検診は、健康増進法に基づいて市町村が実施しているもの。婦人科がんで対象となっているのは、子宮頸がんと乳がん。検診なのだから、気になる婦人科の病気についてもこの検査で気づいてくれると思う人もいるかもしれませんが、それはありません。がん検診は、それぞれのがんに特化した検査を行っているため、他の検査はできないのです。月経過多やおりものについて診てもらっていると思うのも間違いです。気になる症状がある場合は、あらためて病院へ行き、保険適用での診察をすすめます。ちなみに自治体の検診は自費診療扱いですから、同時に保険診療で検査や治療ができないことも多いのです(太田郁子さん)。

小山嵩夫さん 小山嵩夫クリニック院長、産婦人科医
小山嵩夫さん 小山嵩夫クリニック院長、産婦人科医
加藤友康さん 国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 科長
加藤友康さん 国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 科長
太田郁子さん 倉敷平成病院 総合美容センター 婦人科部長
太田郁子さん 倉敷平成病院 総合美容センター 婦人科部長

小山嵩夫(こやま・たかお)●更年期医療の第一人者。更年期と加齢のヘルスケア学会理事長、日本サプリメント学会理事長。著書に『もっと知りたい「女性ホルモン」』等。

加藤友康(かとう・ともやす)●東京医科歯科大学医学部卒業。医学博士。2006年より現職。年間執刀数は70件超。著書に『もっとしりたい子宮がん・卵巣がん』ほか多数。

太田郁子(おおた・いくこ)●日本大学大学院生理系発生生殖学修了。日本産科婦人科学会専門医。医学博士。内膜症や子宮腺筋症の治療法について、海外で発表することも多い。

『クロワッサン』978号より

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