【ブラッシングの基本と歯ブラシ編】不調を呼ぶ口中老化を防ぐには、正しい歯みがき習慣が基本です。
撮影・中島慶子 イラストレーション・安ケ平正哉 文・一澤ひらり
年齢を重ねるほど、さまざまなトラブルのリスクが高まるのが口の中。
「ことに歯周病菌によって作り出される『毒素』が全身に運ばれてしまうと、糖尿病や心筋梗塞などの元凶になりかねません。それを防ぐために最も大切なのは歯みがきです」
と歯科医師の西原郁子さん。当たり前だが、その日の歯の汚れはその日のうちに落とすことが鉄則だ。
「歯は食器と同じ。誰も汚れたままの食器を使って食事なんかしませんよね。朝食後、昼食後、そして夕食を食べて寝る前の1日3回、歯をみがいて汚れを落としましょう」
ポイントは食後30分ほどしてから歯をみがくこと。食べてすぐの口の中はプラークの作用で酸性になっていて、歯のエナメル質の内側からカルシウムやリン酸などが溶け出しやすい状態なのだという。
「食後すぐの歯みがきは歯ブラシがエナメル質を削り落とす恐れがあります。食後30分すれば唾液の作用で口腔内が中性に戻るので大丈夫です」
中でも重要なのは就寝前の歯みがき。
「睡眠時は唾液の分泌が減るので、細菌が繁殖しやすい環境になります。それだけに寝る前の歯みがきは一層ていねいに。朝起きたらうがいをするのも習慣にしてください」
西原さんは就寝前、まず歯ブラシで手みがきをしてからデンタルフロスで歯間汚れを落とし、さらに電動の音波ブラシで仕上げるという。
「歯みがきでプラークを落とせるのは60%程度。歯の健康維持にはデンタルフロスなど歯間ケアも必須です」
正しい歯みがき法を学んでいこう。
歯みがきの基本
●歯みがきは1日3回、食後30分してから行う。
●その日の汚れは、その日のうちに落とす。(歯は食器と同じ、と考える)
●歯は順番を決めて、細かくみがく。
●寝起きはまずうがいをする。
●1日1回は歯間ケアをする。