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糖尿病予備軍の糖尿病専門医が、歯周病ケアで健康を手に入れた!

歯周組織を壊し、毛細血管から入り込む歯周病菌。30歳以上の80%が歯周病の時代、自分と大切な家族を守るために何をするべきか。

撮影・森山祐子 文・越川典子、青山貴子、高橋顕子

にしだわたる糖尿病内科院長 西田 亙さん。「日本で一番歯周病にうるさい糖尿病専門医です」
にしだわたる糖尿病内科院長 西田 亙さん。「日本で一番歯周病にうるさい糖尿病専門医です」

「愛媛大学医学部附属病院の糖尿病内科に在籍中だった10年ほど前ですが、合併症のある重度の糖尿病患者を診たときに、患者さんの口内環境の悪さに気づいたんです」

西田亙さんは、その経験をきっかけに、愛媛県歯科医師会と共同研究を立ち上げ、歯科医院で血糖値を測るプロジェクトをスタートした。
「ところが言い出しっぺの私がものすごい歯周病。りんごどころか、パイナップルを食べても歯茎から出血するほど。しかも肥満で、糖尿病専門医なのに糖尿病予備軍だったんです」
当時の体重は92kg。血圧も高く、不整脈もひどかった。しかし、プロジェクトを始めるにあたり一念発起。歯周病の治療を開始した。
「小学生のころから歯磨きは朝1回、たった5秒行うだけ。そんな私が歯科医院で、歯垢と歯石を取って、きれいにしてもらったんです。正しい歯磨きと歯間清掃の方法も教わり、夜も歯磨きするようになりました」

すると、驚くべき変化が! それまでは大学病院から夜遅く帰宅すると、アイスクリームや冷凍ラーメンなど夜食を食べるのが当たり前。しかし夕食後に歯磨きとフロスを行うようになったら、夜食を食べなくなった。
「せっかくきれいにした口の中を汚したくないと思ったんです。夜食をやめると1カ月で2kgくらい痩せていきました。さらに不思議なのが、口の中がきれいになると運動したくなるんです。きっと気持ちが前向きになるのでしょうね」
その結果、体重が1年で18kg減少し、高血圧や高血糖、不整脈など症状もすべて消失した。

「朝、昼食後、午後、寝る前の1日4回歯磨きをします。1回の時間は3〜10分程度です。一番大切なのは夜の歯磨きで、入浴しながら歯磨きと歯間ブラシを行います」
寝ている間は、唾液の分泌が激減し口の中に菌が増殖。そのため、夜の歯磨きで菌をしっかり減らすことが重要だ。歯ブラシは、クラプロックスというブランドの汚れを落とす大きめものと、歯茎マッサージ用に小さく毛先がやわらかいものと2本を使用。
「歯茎をマッサージすると血液の循環がよくなると同時に、歯茎が引き締まって強くなります。さらに歯間ブラシも重要。歯と歯の間の歯茎は放置されたままになると、食べかすなどが溜まり出血します。ですから歯間の歯茎に密着する歯間ブラシが不可欠です」
こうした毎日のケアに加え、2〜3カ月に一度は歯科医院でクリーニングを行い、口内環境を維持している。

歯周病治療前後では見た目にも大きな違いが!

(左)Before。1日1回5秒の歯磨きで、歯には歯垢や歯石がびっしり。口臭がひどく、家族にも嫌がられていた。 (右)After。歯周病治療とセルフケアを行い、2カ月ほどたったころ。歯垢や歯石もなく口の中はピッカピカ!
(左)Before。1日1回5秒の歯磨きで、歯には歯垢や歯石がびっしり。口臭がひどく、家族にも嫌がられていた。 (右)After。歯周病治療とセルフケアを行い、2カ月ほどたったころ。歯垢や歯石もなく口の中はピッカピカ!
(左)Before。体重が92kgのころは、完全な糖尿病予備軍。階段を上ると不整脈が出て意識を失いそうになったことも。 (右)After。歯周病治療をきっかけに、1年かけて18㎏ダイエットを行った結果、高血圧、不整脈もなくなった。
(左)Before。体重が92kgのころは、完全な糖尿病予備軍。階段を上ると不整脈が出て意識を失いそうになったことも。 (右)After。歯周病治療をきっかけに、1年かけて18㎏ダイエットを行った結果、高血圧、不整脈もなくなった。
「HbA1c値が5.8は、アメリカでは前糖尿病に分類されます」と西田さん。体重の減少とともに、すべての数値が下がり、健康に。
「HbA1c値が5.8は、アメリカでは前糖尿病に分類されます」と西田さん。体重の減少とともに、すべての数値が下がり、健康に。
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