“隠れ心不全”とは? など、心臓を守るための6つのQ&A
長寿国日本に忍び寄る「心不全パンデミック」という危機など、心臓の病への不安や疑問を日本医科大学 武蔵小杉病院 循環器内科部長の佐藤直樹さんに聞きました。
撮影・中島慶子 文・及川夕子
Q. 心不全を起こすと、その後はどうなるのですか?
重症化した心不全の予後は、極めて悪く「肺がんや肝臓がんの予後に匹敵する」と言われるほどです。「予後」とは、病気になったあとどれだけ長く生きられるか、という意味です。
急性心不全の予後を調べたデータによると(下記)、病院に搬送された場合の死亡率は6%となっています。しかし、退院できても1年以内に約2割が亡くなり、さらに、心不全による再入院率を加えると4割弱が1年以内に問題を起こします。
ただし、心不全は、上手にコントロールすれば生きられる病気でもあります。心不全を起こして入院するたびに、心臓は悪くなっていきます。ですから、心不全を軽症のうちに留め、治療と定期的なチェック、健康的な生活を生涯続けていくことがカギになります。
心不全の患者さんが日常生活で注意すべき点としては、①塩分をとりすぎない、②水分を必要以上にとりすぎない、③風邪をひかないように気をつける、④内服薬をしっかり飲む、の4つが特に重要です。薬を飲み忘れると、心不全の急激な悪化につながることもあるので注意しましょう。
そのほか、禁煙、禁酒、過労やストレスを避けることなども大切です。主治医のアドバイスに従って、再発予防に取り組みましょう。心不全の予後は、「自己管理が重要になる」ということを、ぜひ覚えておいてください。
入院した患者の予後
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