Vol.40 くり返すじんましんに悩んでいます。【40歳からのからだ塾WEB版】
何かを食べたり、ひどく疲れたりすると、決まってじんましんができる……なんてことはありませんか?
からだに赤い盛り上がったぶつぶつができて、かゆくてどうしようもなくなる。こんな症状はじんましん。長く放っておくと治癒しにくくなるという特徴もあるようなので、日常的に悩まされている人は早めに対処したいもの。今回は、皮膚科医の石黒直子さんに、くり返すじんましんの対処法や知っておきたい治療のポイントなどについて聞きました。クロワッサンの誌面でも同じテーマをとりあげていますので、ぜひチェックしてみてください。
ここでは、じんましんと湿疹との違い・見分け方などもご紹介します。症状が出たときの参考にしてくださいね。
文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子
じんましんってどんな病気? 湿疹との違いは?
じんましんの専門外来で長年診療を続ける医師の石黒直子さんによると、じんましんは、統計的には5人に1人が一生に1度は経験すると言われている、とてもありふれた病気です。日本では、1カ月以内に治るものを急性じんましん、1カ月以上続くものを慢性じんましんと定義しています。
最大の特徴は、発症しても数時間後にはあとかたもなく消えてしまう点。「赤い盛り上がりやかゆみを伴い、全身のどこにでも現れます。次々と出ているとずっと続いているように見えることもありますが、出ては消える、場所を移動する、形が変わるといったものなら、それはじんましんです」と石黒さん。
ほかの病気との違い、見分け方についても紹介しておきましょう。
湿疹なら……
赤いブツブツが現れて、すぐには消えずに数日から1週間以上は続きます。ひどくなるとシミが残ることがあります。
虫刺されなら……
赤く膨らむ、かゆみを伴うなどはじんましんと似ていますが、虫刺されは、刺されたところの中心部が赤くなり、やや硬く盛り上がり、それが数日続きます。
あせもなら……
からだや腕の内側に発疹ができます。軽いかゆみを伴いますが、すぐに消えることはなく数日は続きます。じんましんにも汗で出るものがありますが、数時間で消えてしまいます。
くり返しになりますが、一般的にはじんましんなら症状がでてから数時間後には消えてしまう。そこが大きな違いですね。
じんましんの原因は特定できないことが多い
じんましんの原因は、「食べ物、薬、日光や気温などの外部刺激、感染症などで、ストレスや疲労は憎悪因子になる可能性があります」(石黒さん)。一方で、じんましんは、検査をしても原因が特定することができない「特発性のじんましん」がほとんど。原因がわからなくても治療はできるそうなので、安心してくださいね。
じんましんを治すには、早めの受診・治療が重要
じんましんの治療は、どのタイプのじんましんであっても、早めの対応がカギ。原因が特定できるなら、取り除くことが重要。一方、原因がわからないじんましんでも、「治療開始が早いほど治癒の可能性が高くなります、逆に放っておくと治りにくくなることがあります」(石黒さん)
罹患期間別の治癒率
資料:石黒直子ほか:皮膚臨床51(7):2009,P885より引用
病院に行った方が良いかどうかの目安は、日常生活に支障が出ているかどうか。「年に1〜2回、ポツンと出るだけで症状も軽い方なら、様子を見ていても大丈夫。ですが、じんましんは重症例になると命にかかわることもあるので注意しましょう」(石黒さん)
「もう消えてしまったから」と受診をためらう方もいるそうですが、石黒さんは、「消えてしまうのはごく普通のことなので、気にせずに受診をして欲しい」と話していました。患部の写真をスマートフォンなどで撮影しておくと、医師に見せることができるので、発症時に気付いたら写真を撮っておくと良いそうです。
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