Vol.34 食事をするといつも胸やけします。【40歳からのからだ塾WEB版】
- 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子
最近、ご飯を食べると胸やけする、胃酸が上がってくるような気持ち悪さがある、ときどき喉が詰まる感じもある……。
みなさんは、こんな症状を経験したことはありませんか。
実は、そうした症状の原因となる病気があるのです。
今回は「胸やけ」が起こる原因、対処法などについて、消化器内科の医師・稲森正彦さんに聞きました。
胃酸が食道に逆流して
胸やけなどが起こる疾患
食べ過ぎたときや刺激物を食べ過ぎたときなどに胸やけがする、のどに違和感を感じるという程度なら、あまり気に留めない人が多いのかもしれません。でも、しょっちゅう食後に胸やけが起こる、胃酸がこみ上げてくるとなると、やはり放っておけないという気になりますよね。
ご飯を食べた後に胃酸が逆流し、胸やけなどを起こすのは「胃食道逆流症(GERD)」という疾患です。
代表的な症状は、まさに胸やけや呑酸(胃の中身が逆流する感じ)。そのほか、のどの違和感、胃もたれ、ゲップなどもみられます。
消化器内科の医師・稲森正彦さんによると「症状が繰り返されることで食欲不振になったり、仕事に集中できないなど、生活の質の低下を招いてしまう疾患です。近年、増加傾向にあります」
- 胃食道逆流症(GERD)が増えている背景とは?
- ・高エネルギー、高脂肪食の増加の食生活
- ・内視鏡診断の進歩
- ・病気が知られるようになった
- ・ヘリコバクター・ピロリ感染率の 低下(→胃酸分泌の増加)
高脂肪食の食事が増えると、胃酸の分泌が増え、胃食道逆流症が起こるきっかけになります。
ピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気の原因の一つですが、ピロリ菌の感染者が多い国では、胃食道逆流症の患者が少ないことがわかっています。ピロリ菌によって胃に炎症が起こると、胃酸が少なくなるためです。日本では、衛生環境が改善してきたことでピロリ感染率が低下し、結果として胃酸の分泌が増えている。それが、胃食道逆流症が増えた原因の一つと考えられています。
胃酸の逆流は、誰でも普通に起きている!?
胸やけの原因となる『胃酸の逆流』。
実は、症状が出ない人も含めて、普通に起きていることだそうです。しくみはこうです。
食事をすると、通常、食べ物は胃の下にたまり、上部に胃液の層ができます。食事の際には空気も一緒に飲み込んでいるため、体は胃にたまった空気をゲップとして外に出そうとします。このとき、空気と一緒に、胃の上部にたまった胃酸が食道へと逆流してしまうことがあるのです。
「胸やけなどの不快な症状が出る人は、何らかの原因で逆流する胃酸の量が多いか、または食道の粘膜が過敏になり不快感などの症状が出てくると考えられます」(稲森さん)
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