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Vol.32 何をしても疲れがとれません。【40歳からのからだ塾WEB版】

  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

残業が続いたり、睡眠不足が続いたりすると、誰でも疲れが出てくるもの。でも、一般的な疲れなら、よく眠ったり体を休めたりすることでよくなることが多いですよね。
そうした疲れとは異なり、ある日突然、原因のわからない激しい疲労感に襲われ、何カ月も続く病気があります。それは「慢性疲労症候群」かもしれません。ひどい疲れで悩んでいるときの受診の目安や治療法について、山王病院心療内科部長の村上正人さんに聞きました。

完璧主義者や
限界を超えて頑張ってしまう人は要注意

心療内科医師の村上正人さんによれば、慢性疲労症候群は、ひどい疲れや発熱が半年以上続くのを特徴とする独立した疾患概念です。
「詳しい発症要因はわかっていませんが、慢性疲労に悩む患者さんのうち、ごく一部が慢性疲労症候群へと発展します。患者数は人口の約0.3%程度(1000人に3人)と推測されていて、そのうち約6割は女性だといわれています」(村上さん)

この疾患に陥りやすいのは、仕事の能力が高く完璧主義で強迫観念が強い傾向の人。寝食を犠牲にしながらオーバーワークを続ける→限界を超えてしまう→自律神経機能や免疫力が低下する→急に熱が出て寝込んでしまう→それ以来、疲労倦怠感が続いている、といった例が典型的です。最近では、IT企業のプログラマーやエンジニアが、慢性疲労症候群を疑って受診するケースが増えています。

原因は明らかになっていませんが、何らかの感染症に加え、日常のストレスなどをきっかけに発症し、重度の場合は、寝たきりになることもあります。最近は脳の神経細胞の炎症説も出ています。

  • 慢性疲労症候群のセルフチェック
  • 全身の疲労・倦怠感がある時期から急に始まった。
  • 半年以上疲労が続き、充分な休養をとっても回復しない。
  • 断続的に発熱が続き、首や脇の下のリンパ節が腫れる。
  • のどの痛みや発赤、風邪症状の繰り返し、ひどい頭痛がある。
  • 原因のわからない筋肉痛や関節痛がある。
  • 眠れない、眠りすぎる、睡眠の乱れがある。
  • 注意力・集中力の低下、物忘れがある。知覚の過敏性や不安や気分の落ち込みがある。

上記のような症状が出そろっていると、慢性疲労症候群の可能性があります。資料提供:村上正人

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