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Vol.28 足がむくんで、だるいんです。【40歳からのからだ塾WEB版】

  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

一日中デスクワークが続いた日や立ちっ放しだった日、お酒を飲み過ぎた翌日などは、足がむくんだりだるくなることがありますよね。
一方、慢性的なむくみや、足のむくみに加えて熱っぽさや痛みなどがある場合は、下肢静脈瘤などの病気のサインかもしれません。
今回は、足のむくみの原因が病気かどうかの見極め方やむくみの解消法などを、心臓血管外科医の榊原直樹さんに聞きました。
気になる足のむくみは、水分のとりすぎなのか、はたまた病気か、チェックする方法も紹介します。

足のみくみが気になる。これは下肢静脈瘤?

心臓血管外科医師の榊原直樹さんによると、足のむくみの原因は多岐にわたります。下肢に血管のコブやむくみが起こる下肢静脈瘤、心不全、腎臓・肝臓の機能障害といった病気が原因の場合もあれば、単に水分のとりすぎの場合も。

「先日クリニックへいらした年配の女性は、足のむくみや重だるさで悩んでいて来院されました。お話を伺うと、健康のために意識して水分を多くとっていると言います。さらにフルーツを好み、梨を1日に何個も食べていました。水分摂取は大切ですが、自分にとっての適量を知ることもまた大事です。その患者さんは、水分を適度な量に調整することで、足のむくみが解消されました。足のむくみ=下肢静脈瘤とは限らず、生活習慣を見直してみることも大切ですね」と榊原さんは言います。

どうして足はむくみやすいの?

では、どうして足はむくみやすいのか。そのメカニズムから見ていきましょう。

まずは血管のしくみを知る必要があります。
ご存知のように、血管には、心臓から血液を全身に運ぶための動脈と、全身の血液を心臓に戻すための静脈があります。
「動脈と静脈では、血管の構造も血液の流れ方も異なっていて、全身の血液の約13%が動脈を流れ、約64%が静脈を流れています。血圧が危険域にまで下がっても、人間はしばらく生きていられるのですが、それは動脈と静脈を流れる血液量が1:1ではないからです。静脈には血液を備蓄するバックアップ機能があるため、流れがゆっくりで血液が停滞しやすい血管と言えます」と榊原さん。

「むくみ」は毛細血管から染み出てきた水分が溜まった状態

次に、水分がどのようにして下肢にたまっていくのかをみていきましょう。
「毛細血管は体中の細胞に酸素、水分、栄養の明け渡しをしていますが、水分は毛細血管から血管外へと染み出し、細胞と細胞の間にたまります。染み出した水分は、10〜20%ぐらいがリンパ管へと流れ、残りは静脈が再吸収し回収します。ところが、水分が体に過剰に供給されたり、何らかの理由で静脈の流れが悪くなったりすると、水分の回収・排出が追いつかずに、脂肪組織に留まりむくんでしまうというわけです」(榊原さん)
リンパだけを流してもむくみは解消せず、静脈を流すことが重要なのですね。

下肢のむくみの正体は「下肢静脈の高血圧」

押すとへこむ、下肢のむくみの正体は「下肢静脈の高血圧」

下肢は心臓から遠く下にあるため、海に例えると深海のように高い圧かかります。結果、血流が停滞し水分が戻りにくくなり、むくみが慢性化しやすいのです。

資料提供:東京血管外科クリニック

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