Vol.27 あごが痛くて口が開けられません。【40歳からのからだ塾WEB版】
- 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子
口を開けたときに音が鳴る、あごが痛い、口が開きにくい。これらは顎関節症の三大症状と呼ばれるもの。私の場合は、たまにカクンと音がするかなあ…ぐらいで痛みは経験したことがありません。
顎関節症はとても身近な病気。自然に治まることが多いが、慢性化することもあるそうです。自覚症状がないケースもあれば、軽症のもの、かなり重症のものまでさまざま。ただ、食べづらい、痛くてつらいなど、生活するのに困るほどなら治療を受けるべきでしょう。
今回は、顎関節症をどうやって治す? 自分でできる改善法はある?などについて、専門医のアドバイスを紹介します。
「噛み合わせは主因でない」というのが世界の常識
突然ですが「顎関節症かも?」と思ったら何科を受診すべきでしょう。一般的には、歯科や口腔外科、顎関節症の専門外来などを受診します。
顎関節症治療のスペシャリスト、和嶋浩一さんによると「顎関節症は、何が起きているか原因をきちんと見極めた上で、治療をすることがとても重要です。以前は噛み合わせが原因と考えられていましたが、それは主因ではないというのが、世界中の専門医の見解です」とのこと。 “噛み合わせ治療で顎関節症は治る” といった認識は間違いだそう。覚えておきたいですね。
顎関節症の原因は?
顎関節症の痛みは、あごに強い力が加わることにより生じます。最も大きな因子は就寝中の歯ぎしり、くいしばり、日中のかみしめ。それから、よくかむ側に発生するそうです。
日常の何気ない習慣が、咀嚼筋(側頭筋や咬筋)や関節への負担となり、一定のレベルを超えると痛みや開口障害を引き起こします。
こんな生活習慣が関係しています。
- □ 歯ぎしりをしている(指摘された)
- □ 起床時にくいしばっていたり、日中に歯をかみしめていることがある
- □ 左右のどちらかでかむクセがある
- □ ストレスを感じることが多い
- □ 神経質な面がある
該当する数が多いほど、顎関節症になりやすいです。
顎関節症は複数因子の組み合せで発症
複数因子の積み重ねで発症
顎関節症は、複数の因子が重なって耐久限界を超えたときに発症すると考えられている。
出典:『あごが痛い、口が開かない顎関節症』(NHK出版/監修和嶋浩一)
複数の検査で診断、治療は病態に合わせてオーダーメイド
診察は、問診、視診、触診の順に行い、必要に応じて複数の検査を行います。「診察で最も重要なのが、痛みが筋肉にあるのか(咀嚼筋痛)、関節にあるのか(顎関節痛)の見極め」(和嶋さん)。それにより、有効な治療法が異なるからです。ストレスから起こるくいしばりやかみしめもあるため、患者さんに心理精神的問題がないかどうかなども確認します。
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