【がん体験者に聞く|内田春菊さん】比較的冷静に受け止められたのは予備知識のおかげ。
2年前、直腸がんと診断された漫画家、作家の内田春菊さん。どうやって乗り越えたのか、体験談を聞きます。
撮影・千葉 諭
「がんは誰でもなりますよ」と、笑顔で言う内田春菊さん。2年前に糖質制限中に便秘になり出血。痔だと思って近くのクリニックに行き、内視鏡検査後、がんと明言しない医者に自ら「それはがんかもしれないってことですよね?」と迫ったという。
「周囲にがんになる人が多かったこともあって、前からがん関連の本を猛烈に読んでいたので詳しかったんです。だからがんになっても半分ぐらいの人は治る、特に大腸は治る印象があって。がんみたいと家族に話したら、次女は『死んじゃうの?』って心配してましたけど、『大腸だからだいちょうぶ 』って(笑)。もちろん実際治療してみたら、本で読むのとは大違いでしたけど」
術後告げられたステージは1、転移もなかった。術前の抗がん剤治療中は副作用もあったが、仮免許を取るべく、抗がん剤のパックを下げて教習所に通ったというから、内田さんのパワフルさには驚く。結果、腫瘍は小さくなったものの、位置に大きな変化はなく、肛門を残すのは危険と告げられる。
「先生に『未練残るから、肛門にがんが再発したらどれだけ大変か、できるだけ脅して』って頼んで、人ストーマ工肛門を選ばざるを得ないように導いてもらいました。もちろんショックはショックでしたよ。先生曰く〝茶筒を抜いたよう〟に大腸周りをごっそり取られて。その傷の大きさに、その頃は『ほんとにストーマになっちゃったんだ……』と遠くの空を見つめたりしていました」
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