減塩を可能にする和のスパイスは舌に新鮮。
【すだち・地からし編】
鰻のかば焼きに粉山椒、おでんにからし、刺身に大葉……と、食卓でおなじみの和のスパイスは、少量使うだけで料理の味が引き締まります。
「和スパイスは独特な辛味や食欲をそそる香りが香辛料や薬味に適していますが、辛味や酸味などが料理のアクセントになり、塩分量が控えめでもおいしく仕上げることができます」と松田美智子さん。
例えば、いつもの炒め物に塩の代わりに粉山椒を使うと、ピリッと辛みが効いて新鮮なおいしさに。すだちの果汁で魚をマリネしてからソテーをすれば、爽やかな酸味が効いた一品ができあがります。
「和スパイスを上手に活用すれば料理の幅が広がり、塩分量も抑えられます」 和スパイスを使うポイントは量と切り方にあるという。
「山椒や唐辛子など刺激の強いものは、量が多いと辛味が勝ってしまい、食材そのものの旨味が損なわれてしまいます。味をみながら調整してください。また、生姜や大葉は細かくすればするほど、香りや風味が際立ちます。水気をよくきることもポイントです」
塩分を控えめにする方法としては土鍋の調理もおすすめ。
「土鍋は鍋料理だけでなく、煮る、焼く、蒸すができる調理道具。遠赤外線効果で食材の中から熱がじっくりと入るので、調味料が少なめでも味が浸み込みふっくらと仕上がります。また、金属と接しないので食材本来の旨味が生きた料理が楽しめます」
【すだち】
柑橘系の爽やかな香りとほどよい酸味。
徳島県が原産のすだちは、クエン酸含有量がみかんの4倍もあり、血液サラサラ効果も期待できる。ほのかな酸味が塩分の代わりになり、さっぱりした味に。皮にはビタミンCが豊富。
すだち煮麵
材料(2人分) 素麺2束、だし5カップ、酒¼カップ、梅干し中2個、すだち4個
作り方
1.鍋に湯を沸かし素麺を硬めに茹でる。茹であがったらザルに取り、水洗いをして水気をきっておく。
2.鍋にだしを入れひと煮立ちしたら、酒、種と果肉に分けた梅干しを加え煮立てる。火を止め、種を取り除いたすだちの薄切りを加える。
3.器に素麺を盛り、熱々の2を上から注ぐ。
かじき鮪のソテー すだちソース
材料(2人分) かじき鮪2切れ、A[すだち2個、オリーブオイル大匙2、白胡椒少々、味噌小匙1]、オリーブオイル大匙1、すだち1個
作り方
1.Aの材料のすだちを搾り、他の材料とともによく混ぜる。
2.かじき鮪を1に15分漬け込む。搾ったすだちも香りを移すために入れておく。
3.フライパンにオリーブオイルを入れて熱し、半分に切った2のかじき鮪を強火で焼く。
4.器に盛り付け、3のフライパンにマリネ液の残りを加えヘラで混ぜてさっと煮、ソースにしてかける。カットしたすだちを添える。
【地からし】
鼻にツンとこない、まろやかな辛味が特徴。
福井県で栽培されている日本の伝統野菜〝からし菜〞の種子をまるごと挽いて作る。茶と黄色の粉が混じりあっているのが特徴。練れば練るほど風味が増し、まろやかな辛味が際立つ。
春菊の地からしごま和え
材料(2人分) 春菊1束、塩少々、A[地からし大匙1、水大匙1½]、白ごま大匙3、B[三温糖大匙½、薄口醤油大匙½]
作り方
1.鍋に湯を沸かし、塩少々を加え、春菊を硬めに茹でる。茹であがったら水に取り、軸を揃えて軽く水気を絞り、3㎝長さに切り揃える。
2.すり鉢にAを入れ、よく練る。フライパンで煎った白ごまを加え七分ずりにする。さらにBを加え、すり合わせる。
3. 1をやや水気の残る状態で2に加え、よく和える。
大根の昆布の土鍋煮 地からし添え
材料(2人分) 大根10㎝、だし2カップ、酒大匙3、昆布5㎝角、三温糖大匙½、A[地からし大匙1½、水大匙2]
作り方
1.大根は2㎝幅の半月に切り、皮を厚めにむき、面取りをする。
2.だしを土鍋に入れ1を加えたらひと煮立ちさせる。昆布、酒、三温糖を加え、蓋をして弱火で30分煮込む。
3.Aをすり鉢でよく練る。
4. 2を器に盛り、3をのせる。
◎松田美智子さん 料理研究家/素材の持ち味を生かした料理が人気。10月21日まで東京・新宿伊勢丹催事場にてフェアを開催。今回の地からしなども販売する。
『クロワッサン』911号(2015年10月25日号)より
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