骨が丈夫になる食生活を、毎日コツコツ続けよう
イラストレーション・浅妻健司 文・熊坂麻美
骨の強度は食事で高められる。骨の主成分・カルシウムは、摂り方にコツが。
「カルシウムの吸収率を上げるビタミンD、骨にカルシウムを定着させるビタミンKと一緒に摂ることが大切です。また、働きをサポートし合うマグネシウムも意識して摂るようにしましょう」
骨を構成するもう一つの成分、コラーゲンとタンパク質も重要だ。カルシウムで骨量を増やしても、コラーゲン部分が劣化すれば骨質が低下し、骨折を招くことも。コラーゲンの元になるタンパク質を充分に摂ることで、骨を支える筋肉も作られて相乗効果を生む。
「体や骨は、多様な栄養素が複雑に作用して作られています。骨にいい食材の組み合わせを参考にし、いろいろな食材を彩りよく摂ることをまず心がけてみてください。なお、骨の維持にも関わる腎臓機能を守るため、塩分は控えめが理想的。1日で骨は変わりません。継続することが何より大切ですよ」
カルシウム
骨の成長や再生を促す。骨量を増やして骨密度を高める。
じゃこなどの小魚、豆腐などの大豆製品、乳製品に多く含まれる。単体では吸収や定着がされにくいため、ビタミンDやKの食材と一緒に摂るとよい。カルシウムをサプリで過剰摂取すると、骨の変形や動脈硬化の原因にもなるため、注意したい。
タンパク質
骨を支える筋肉を作る。コラーゲンの原料になる。
植物性より動物性のほうが吸収されやすいため、肉や魚、卵を積極的に。3食こまめに摂ることで効率よく体に吸収される。レバーや牛もも肉などの赤身の肉は骨と筋肉に重要な鉄分も豊富。野菜でビタミンCも一緒に摂るとコラーゲンの生成を促進。
ビタミンD
カルシウムの吸収を助ける。骨芽細胞の働きを促す。
サンマなどの魚類、干し椎茸やきくらげに多い。特に鮭やめかじきはカルシウムも豊富な優秀食材。魚の内臓は特にビタミンDの含有量が高く、まるごと食べられる水煮缶もおすすめ。紫外線を浴びることで活性化するため、日光浴も効果的。
ビタミンK
カルシウムを定着させる。骨質を高める。
カルシウムを骨に定着させるほか、コラーゲンの生成を促す働きもある。ほうれん草、ブロッコリー、ひきわり納豆、モロヘイヤなどに多く含まれる。カルシウムとビタミンKが両方摂れる小松菜、ひじき、キャベツは、積極的に使いたい。
マグネシウム
骨を強化し、骨形成を補う。骨を支える筋収縮を整える。
カルシウムと働きを補い合い、丈夫でしなやかな骨を作る。カルシウムと拮抗して筋収縮を抑える役割も。ストレス過多やアルコール摂取で不足しやすい。ひじきなどの海藻類、アーモンド、豆腐などの大豆製品、玄米などの未精製の穀類に含まれる。
ビタミンB群
骨質を高める。骨の強度を維持する。
ビタミンB群の不足により、骨密度の低下や骨質(コラーゲンの橋かけ構造)の劣化が促進される。ビタミンB6やB12のほか、B群の一種である葉酸も意識して摂ること。B6はブロッコリー、葉酸はエリンギ、B12は鶏肉や鮭に含まれる。
『クロワッサン』1127号より
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