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費用は?リハビリ期間は?人工股関節手術の最新情報

最近よく聞く人工股関節置換術。ちょっと怖い気もするけれど、本当にスタスタ歩けるようになるの?

イラストレーション・松栄舞子 文・中嶋茉莉花

連続して15分歩くことが困難であれば、人工股関節を視野に入れましょう

国内で人工股関節置換術の年間症例数が最も多い、千葉県の「船橋整形外科病院」。三浦陽子医師に話を聞いた。

「傷んだ股関節を人工関節に置き換え股関節を滑らかに動かせるようにします。股関節に痛みがあり、15分の連続歩行が厳しくなったら、また、股関節をかばって腰や膝の痛みが出てきたら医師に相談しましょう。趣味の運動や仕事に支障が出てきた場合も手術を考えてよいかもしれません」

日本では、手術を受ける人の9割が女性だという。

「日本人は先天的に臼蓋(きゅうがい)形成不全の人が多く、特に女性は筋力も骨も男性より弱いためです。骨盤側の臼蓋という部分のかぶりが浅く大腿骨の収まりが悪い。股関節への負荷が大きく、軟骨や骨がどんどんすり減ってしまうんです。それが進行した段階が変形性股関節症。体重の増加や筋力が低下しやすい50歳以降は、さらに注意が必要」

体に人工の股関節(インプラント)が入る手術だけに、不安がつきまとうが、実は戦後、最も成功した手術の筆頭がこの人工股関節置換術だという。

「近年は筋肉を大きく切り離すことなく手術ができるので、自然な関節の動きの再現性が高いんです。インプラント自体の耐久性能も格段にアップし、手術を受ける若い人もずいぶん増えました」

三浦さんの病院は手術時間が40分程度で、多くが翌日歩行可能とのこと。

「一般的には医師の得手、患者の体形などにより、手術時に前・横・後ろのどこを切開するかが異なります。当院では股関節の前方から患部まで進入する術式を採用しています。これだと筋肉を傷めずに済むので回復が早い。術後、運動制限もなく、開脚やダンス、ヨガもOK。QOLを取り戻すために、不調であれば選択肢として手術を考えて」

図右:大腿骨の骨頭を取り出し、骨盤側の損傷面を削ってカップとライナーをはめ込む。ステムは大腿骨の中央…

図右:大腿骨の骨頭を取り出し、骨盤側の損傷面を削ってカップとライナーをはめ込む。ステムは大腿骨の中央に穴を開け、差し込む。約3カ月で骨が人工股関節と固着される。

図左:骨盤側に置換するカップ、ライナーと、大腿骨側のヘッドとステムの4部品からなる。カップとステムはチタン、ライナーはポリエチレン、ヘッドはセラミック製が主流。

正常な股関節
正常な股関節

大腿骨の丸い骨頭部分(大腿骨頭)が臼蓋といわれる骨盤側のくぼみにきちんと収まっている状態。

臼蓋形成不全
臼蓋形成不全

臼蓋のかぶりが浅く、骨頭を覆いきれない。骨盤がガタつくため、軟骨がすり減り、痛みが生じる。

変形性股関節症
変形性股関節症

軟骨がほぼなくなり、臼蓋が削られて痛みや左右の脚長差が出る。

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