暮らしに役立つ、知恵がある。

 

広告

適正な量の炭水化物が若さの秘訣ーー血糖値を上手にコントロール

ダイエットの敵とみなされ、とかく悪者にされがちな炭水化物。でも、本当は脳と体のために必要不可欠なもの。炭水化物との上手な付き合い方を知りたい!

イラストレーション・John Danon 文・黒澤 彩 構成・中條裕子

炭水化物と上手に付き合って若々しく。

炭水化物が体にとって必要不可欠なものだとわかった。とはいえ、何ごともほどほどが大切。炭水化物の適量とは、どのくらいなのだろうか?

「量でいうと、一日3食、ご飯をお茶碗に1杯分くらいは食べてほしいですね。適正量を伝えると、そんなに食べていいんですか?と驚く人が多いのですが、現代のライフスタイルにおいて、とくに女性は炭水化物を控えすぎています。基本的には毎食摂るように意識してください」

むしろ気をつけたいのが、量というよりも血糖値を急激に上げてしまうような食べ方だ。血糖値は、食べたものを消化するときに糖質がブドウ糖になり、それが血液中に吸収されることで上がる。血糖値が上がると、膵臓からインスリンが出て血糖値を下げる役割をする。理想的なのは、血糖値が緩やかに上がり、緩やかに下がること。急激に上がったり下がったりを繰り返すと、膵臓や血管への負担となることから、血糖値を適正にコントロールすることが大切とされている。食べ方としては、空腹時に糖類を多く含む甘いものを食べたり、一気に大量の炭水化物を食べたりすることを避けたい。

「糖質をがまんしすぎると、その反動で一気に食べてしまったり、甘いものや間食を欲するようにもなるでしょう。摂りすぎないためにも、適量を摂って満足感を得ることが大切です」

炭水化物を食べないと起こる負のループ

適正な量の炭水化物が若さの秘訣ーー血糖値を上手にコントロール

⚫︎糖質不足になる

炭水化物を控えていると、慢性的な糖質不足に。たんぱく質など、エネルギーを代替するほかの栄養素の効果も得られなくなる。

⚫︎もっと摂れ!と脳が指令

エネルギー不足の脳からは「糖質が足りない!もっと摂らなければ!」という指令が出され続け、必要以上に糖質を欲することに。

⚫︎食べすぎる

糖質をがまんすることがストレスとなっていたため、体重が落ちるなど目標を達成し制限がなくなったとき、一気に大量に食べてしまう。

⚫︎控えようとする

がまんしてきた反動や、“ごほうび”として食べすぎた結果リバウンドし、罪悪感を感じることで、また糖質を控えようとする。

 ↓

対処法

◎適量を摂取する。

一度にたくさん食べるのではなく、毎食、適量を食べることで適度な満足感を得る。

◎食べ方と調理法を選ぶ。

たんぱく質などと組み合わせてゆっくり食べる。加熱調理後、冷まして食べると効果的。

◎ストレスを回避する。

精神的なストレスが余分な糖質を欲する原因にも。おおらかに食事を楽しむことも大切。

脳と体が糖質不足の状態になると、かえって糖質を欲する悪循環になりやすいので、糖質を制限したり、断つのは逆効果。他の栄養素も含めてバランスよく、ゆっくり時間をかけ、適量の炭水化物を食べることが、糖質の摂りすぎを防ぐコツでもある。

炭水化物とのお付き合い「おすすめ3原則」

パンよりご飯

腸内環境を整える食物繊維、でんぷんをより多く摂れるのはご飯。ご飯は米粒そのままを水で炊いて食べるのに対し、パンは精製して粉にした小麦に添加物などいろいろなものが加えられた食品なので、でんぷんの割合が少なめ。

適正な量の炭水化物が若さの秘訣ーー血糖値を上手にコントロール

朝だけでなく夜も!

糖質がつくるエネルギーは、日中運動したり生活するためだけでなく、生命を維持するために必要なもの。寝ている間にも臓器は働いていてエネルギーを消費するので、夕食(就寝の数時間前)にも炭水化物を食べておきたい。

適正な量の炭水化物が若さの秘訣ーー血糖値を上手にコントロール

まずは“冷ます”

一度加熱した炭水化物を冷ますことによって、でんぷんがレジスタントスターチへと変成。すぐ吸収されず、腸に届いて食物繊維と同じように腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えてくれる。炊き立てのご飯より冷やご飯を!

適正な量の炭水化物が若さの秘訣ーー血糖値を上手にコントロール
  • 笠岡誠一

    笠岡誠一 さん (かさおか・せいいち)

    栄養学者

    文教大学 健康栄養学部 管理栄養学科 教授。著書に『9割の人が間違っている炭水化物の摂り方』(アスコム)などがある。

『クロワッサン』1133号より

02 / 02

広告

  1. HOME
  2. からだ
  3. 適正な量の炭水化物が若さの秘訣ーー血糖値を上手にコントロール

人気ランキング

  • 最 新
  • 週 間
  • 月 間

注目の記事

編集部のイチオシ!

オススメの連載