からだ

すでにある腰痛にも効果を発揮、体のクセを直す姿勢と歩き方。

腰痛を改善するいちばんの近道は、正しい姿勢で歩くこと! 
かたくなった筋肉をほぐして整えるアプローチを教わります。
  • 撮影・小川朋央 文・黒澤 彩

姿勢を直して、長年悩んでいた腰痛から解放されたという美容ジャーナリストの倉田真由美さん。倉田さんが実践してきた、パーソナルトレーナーのKAORUさんの教えとは?

左・「歩く姿勢を直したら腰痛がなくなりました。」(倉田真由美さん)/ 右・「歩くことは自然のマッサージ!」(KAORUさん)

倉田真由美さん(以下、倉田) 初めてお会いしたのは8年くらい前でしたね。私は40代の頃にぎっくり腰になったり、しょっちゅう腰を痛めていたんです。整体などにも通ったけれどよくならず、姿勢と歩き方を正すことで改善できますよ、と教えてくれたのがKAORUさん。目からウロコでした。

KAORUさん(以下、KAORU) 職業とか生活習慣によって、誰にでも姿勢のクセはあります。ある程度の年齢になると、姿勢ってその人の履歴書みたいなものですから。倉田さんの場合も、お仕事柄、上半身に力が入りやすいのかなと思いました。

倉田 胸を張った状態がよい姿勢だと思い込んでいたけど、それは間違いだと気づかせてくれました。腰痛もきっとこの姿勢からきていたんだなと。

KAORU 腰痛の原因はみんな同じではないのですが、たいていは姿勢や動き方のクセからくる筋肉の問題。とくに股関節まわりの筋肉が使えていない人が多いです。股関節が滑らかに使えないと、骨盤に負担がかかって腰を痛めやすくなります。

胸を張った姿勢はNG!

(右)一見、よい姿勢のようだが、これは「反り腰」。骨盤が前傾して腰が反ってしまっている。
(左)骨盤が後傾している「猫背」。腰が曲がって、バランスを取るのに首が前に出てしまう。

倉田 それも驚きでした。腰そのものじゃなく、股関節がポイントだったなんて。股関節をほぐしてきちんと使うためには、歩き方がいちばん大切なんですよね。

KAORU そうです。日常の動作のなかで股関節を使うのって歩くときくらい。だから歩き方がとても重要で、摺り足のような歩き方だと、やはり骨盤に負担がかかるばかりで腰痛改善の効果はありません。
母指球で蹴り上げて、膝が自然に上がるように歩くことが(下写真参照)、股関節を自然にマッサージすることになります。倉田さんはちゃんとできていますね。

倉田 私もトレーニングする前はO脚気味で、足の外側、小指球のほうに体重を乗せて歩いていました。どうしてなのか、外側の筋肉ばかり使ってしまう人が多いそうですね?

KAORU 本来は内側の筋肉でバランスをとる体勢や動きも、外側の筋肉で代用できてしまうからだと思います。おそらくみんな、意識せずにそうしているのでは。日常生活のなかで、インナーマッスルを使うような動きって、なかなかありませんよね。使わなければ筋肉はどんどん萎縮してかたくなってしまいます。大人はみんな、不自然な状態が定着してしまっているから、自然な姿勢、自然な歩き方に戻すには努力が必要です。

倉田 今では真っすぐな姿勢で歩けるようになってきましたけど、自分で姿勢がよくなったなと実感できるまではすごく時間がかかったかも。

KAORU 少しずつ変わるから、劇的な変化は感じにくいかもしれませんね。ふだんの生活に取り入れられる範囲で、できることを続けましょう。

倉田 KAORUさんに教わったトレーニングは、家でもおさらいできるのがいいですね。お風呂上がりにテニスボールで筋肉をほぐしたり、かたくなりがちな部分を伸ばすということを意識してからは、ちょっとした体の不具合を自分で防げるようになりました。この8年、大きな不調を経験していないのも、そのおかげかなと思います。

KAORU 習慣にすると体への感度が上がるので、姿勢が悪くなっていると気づけるようになりますよね。

倉田 たしかに努力は必要だし時間はかかるけれど、姿勢を変えることで腰痛が治って歩き方も若々しくなる。まだまだ体のエイジングマネジメントができるんだって自信がつきました。

KAORU もう歳だから仕方ないとあきらめないで! 何歳から始めても体は応えてくれるはずです。

【自然な正しい歩き方】

意識すべきは足裏。後ろ側の足の母指球で蹴り上げると、自然に股関節が動いて膝が上がる。足を下ろすときは足裏全体に体重が乗る感覚で。上半身は力を抜いていてOK。自然と歩くスピードも速くなる。

(A)後ろ側の足の母指球で蹴り上げる。
(B)上半身は力まず楽に。
(C)膝がしっかりと上がる。
(D)再び母指球で蹴り上げる。

●母指球
親指の付け根あたり。

●縦アーチ内側
母指球からかかとまでの、縦のライン。

●横アーチ
母指球と小指球を結ぶ、横のライン。

●小指球
小指の付け根あたり。

●縦アーチ外側
小指球からかかとまでの、縦のライン。

母指球、小指球、かかとを結ぶ3つのアーチが、歩くときのバネの役割を果たす。歩きながら、3点のどこに体重がかかっているかを意識してみよう。

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