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コリや痛みの源「冷え」対策、外から中から体の芯を温める方法。

つらいコリや体の痛みは、ほぐして、ゆるめて、温めることで改善できる。
気負わず生活に取り入れて、活動的な日々を送ろう。

撮影・中村ナリコ イラストレーション・イオクサツキ 文・長谷川未緒

冷えはあらゆる痛みの源。外から中から、体の芯を温める。

「体が冷えると血液循環が悪くなり、さまざまな不調の原因に。筋肉が縮こまり新陳代謝が進まないので、肩コリや腰、膝などの痛みも引き起こします」と語るのは、長年、温活を推奨している医師の川嶋朗さんだ。

起床時の体温が36度以下の人は確実に冷えている。痛みがある場合は、冷えを疑っていい。

「体を温めるには、冷えやすい場所を常に温めておく、筋肉をつけてエネルギーを燃やせる体にする、自律神経のバランスを整える、この3つが基本です。理想体温は36.5〜37度。温め力をつけて冷えない体になると、血行がよくなり、コリや痛みはすーっと消えていくでしょう。生活習慣をちょっと変えるだけで、元気に長生きできますよ」

【朝】脳と胃腸に働きかけて 一日をぽかぽか始めよう。

寝起きに布団の中で脇の下とお腹、お尻を触り、体温を比べてみて。お腹やお尻のほうが冷たい人は体の深部が冷えている。白湯を飲み、内臓をダイレクトに温めよう。胃腸が目覚めるので、便秘解消も。
朝は日光を浴びることも大切だ。幸せホルモンといわれるセロトニンが分泌されてストレスが緩和、自律神経が整う。また、セロトニンは夜になると睡眠ホルモンといわれるメラトニンに変化するので、よい睡眠に導いてくれる。

手軽に白湯を飲み体温アップ、室外光で、体内時計を整える。

起きたらカーテンと窓を開け、日光を浴びよう。時間のある人は散歩をすると、なおいい。お湯を沸かすのが面倒という人は、電子レンジで温めても。熱すぎは胃腸に負担がかかるので、60度くらいを目安に。
起きたらカーテンと窓を開け、日光を浴びよう。時間のある人は散歩をすると、なおいい。お湯を沸かすのが面倒という人は、電子レンジで温めても。熱すぎは胃腸に負担がかかるので、60度くらいを目安に。

【日中】ライフスタイルに合わせ、体の内と外から温める。

日中、室内で過ごすことが多いなら湯たんぽ、室外ならカイロなど、シチュエーションごとに温めグッズの活用を。
しっかり体を動かし、代謝を上げることも大切だ。一日10分、大股で歩くだけでも体温アップに効果がある。
夏冬問わず温めたいのは、動脈が体表近くを通っている首、手首、足首と、筋肉の多い二の腕、太もも、大切な臓器が集まるお腹と、副交感神経の中枢がある腰・お尻の7カ所。
腹巻きは365日身につけ、重ね着をするなど衣服も工夫しよう。

低温タイプの使い捨てカイロで、血行を促進、体を温め、痛みをラクに。

温めるとラクになる痛みには、40度程度に発熱する低温タイプの使い捨てカイロを。肩コリは肩から背中に広…

温めるとラクになる痛みには、40度程度に発熱する低温タイプの使い捨てカイロを。肩コリは肩から背中に広がる僧帽筋に貼るといい。また自律神経が通る仙骨や、大動脈がある肩甲骨の間に貼ると、全身が温まる。

いつもの家事の強度を上げる「ながら運動」で、筋肉量をアップしよう。

運動する時間を作らなくても、日常生活でラクをせず、疲れることをするといい筋トレに。ダイエットサンダルを履いたり、ロボット掃除機に頼らず掃除機をかけるなど、面倒がらずに得だと思って、続けてみて。
運動する時間を作らなくても、日常生活でラクをせず、疲れることをするといい筋トレに。ダイエットサンダルを履いたり、ロボット掃除機に頼らず掃除機をかけるなど、面倒がらずに得だと思って、続けてみて。

座っている時間が長い人は湯たんぽで太ももを温めて。

太ももは大きな筋肉があり毛細血管が集まっているため、温め効果が高い場所。温まったら、お尻や腰、お腹と湯たんぽを移動させよう。汗をかくと気化熱で逆に冷える。ペットボトルにお湯を入れて代用してもいい。
太ももは大きな筋肉があり毛細血管が集まっているため、温め効果が高い場所。温まったら、お尻や腰、お腹と湯たんぽを移動させよう。汗をかくと気化熱で逆に冷える。ペットボトルにお湯を入れて代用してもいい。

よく噛む3大効果は、体温アップ、食べ過ぎ防止、リラックス。

充分に噛んで食べることで満腹中枢が刺激されて食べ過ぎを防げるうえ、交感神経の中枢も刺激されるので、内臓脂肪が燃焼して体が温まる。自律神経も整い、いいことずくめだ。ひと口30回を目安に。
充分に噛んで食べることで満腹中枢が刺激されて食べ過ぎを防げるうえ、交感神経の中枢も刺激されるので、内臓脂肪が燃焼して体が温まる。自律神経も整い、いいことずくめだ。ひと口30回を目安に。

【夜】体を芯から温め緊張をほどいていい睡眠に。

体を温める活動のうち、最大の効果が見込めるのが就寝前の入浴だ。シャワーで済ませず、湯船にしっかり入って、心身をリラックスさせ、ストレスを解消しよう。
なかなか緊張が解けない人は呼吸法も合わせるといい。「10秒吐いて、5秒吸う」を10回程度くり返すと副交感神経のスイッチが入り、気持ちが安らぎ自律神経が整う。
入浴後はできれば22時まで、遅くとも24時までには寝ると、体が温まるだけでなく免疫力アップも期待大。

ぬるめのお湯にゆっくり浸かり無理せず、温まろう。

温活入浴に大切なのは温度と時間で、38〜40度に10〜30分がいい。物足りない温度かもしれないが、長湯で芯まで温まり、神経が休まって安眠できる。脱衣所が寒いと交感神経が優位になってしまうため、温めておくこと。
温活入浴に大切なのは温度と時間で、38〜40度に10〜30分がいい。物足りない温度かもしれないが、長湯で芯まで温まり、神経が休まって安眠できる。脱衣所が寒いと交感神経が優位になってしまうため、温めておくこと。

ドライヤーで髪を乾かすついでに、冷えのツボを簡単お灸。

足の内くるぶしから指4本分上にある三陰交(さんいんこう)は、冷えに有効なツボ。10cmほど離したところからドライヤーの弱温風モードで風を当て、温まったら外す。5回ほどくり返すと、足全体が温まってくる。
足の内くるぶしから指4本分上にある三陰交(さんいんこう)は、冷えに有効なツボ。10cmほど離したところからドライヤーの弱温風モードで風を当て、温まったら外す。5回ほどくり返すと、足全体が温まってくる。
  • 川嶋 朗

    川嶋 朗 さん (かわしま・あきら)

    医師、医学博士

    神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授。『不調が消え、免疫力アップ 毎日の冷えとり漢方』など著書多数。

『クロワッサン』1086号より

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