キウイの健康効果を再確認。体の内側から健やかになる!
イラストレーション・ニッパシヨシミツ 文・小沢緑子
「外出自粛による運動不足やストレス、また巣ごもり生活でついつい食べすぎて体重が増加するなど、コロナ禍に生活や食習慣が変化したことで、生活習慣病を呼び寄せるリスクが高まっています」と、医師の池谷敏郎さん。
特に注意したいのが、糖尿病に近いリスクを抱える「かくれ高血糖(食後に血糖値が急上昇、急降下する状態)」と、「塩分過多による血圧への影響」。
年齢とともに血管も老化するというが、「かくれ高血糖も塩分過多の問題も血管を少しずつ硬くして傷つけやすく、老化を早めます。さらに更年期は女性の体を守っていた女性ホルモンが減少。 放っておくと高血圧や動脈硬化に進み、将来的に脳卒中、心筋梗塞、狭心症、認知症に発展する要因にもなります」。
予防策は、運動と食生活の改善。「まず、ウォーキングなど、適度に運動する健康習慣をつけましょう」
食事に関してはバランスよく摂ることが第一だが、かくれ高血糖を助長する糖質と、血圧に大きな影響を与える塩分を摂りすぎないように。
「糖質は主食を控えてその分、豆、卵、肉や魚などのたんぱく質に置き換えたり、野菜やきのこでかさ増しをすれば無理なく続けられると思います」
塩分は、レモンなど酸味があるものに置き換えるほかにも、体内から余分な塩分の排出を促すカリウムが多い食品を取り入れるのもいい方法という。
「カリウムは野菜に多いのですが、果物のキウイもおすすめ。キウイはカリウムに加え、血糖値を上げにくくする食物繊維も豊富で、手軽においしく食べられるうえ、塩分排出と血糖値コントロールもできて一石二鳥。私は仕事が終わると夕食前にキウイをヨーグルトに加えてよく食べますが、お腹がいったん満たされてどか食いも防げます」
食べ方の工夫も健康的な生活に変えるための第一歩。今から気をつけたい。
Point 1:栄養素が豊富! 10種類の栄養素が1個に凝縮。
食物繊維が豊富なキウイ。グリーンキウイ、ゴールドキウイなどの種類があるが、特にグリーンキウイには1個でバナナ2本分の食物繊維が。ビタミンCも豊富で、ゴールドキウイなら1個でレモン7個分※のビタミンCが摂れる。ほかにもカリウム、ビタミンE、葉酸、ビタミンB6、ビタミンK、マグネシウム、鉄、銅と、栄養素が豊富。
「キウイは生のまま食べられるので栄養が丸ごと摂れるのもいい点」(池谷さん)。手軽に効率よく栄養素を摂れるのもうれしい。
※果汁換算の場合
10種類の栄養素
ビタミンC
食物繊維
カリウム
ビタミンE
葉酸
ビタミンB6
ビタミンK
マグネシウム
鉄
銅
Point2:カリウムの排塩作用で体内の余分な塩分をリセット!
体内の余分な塩分を排出する働きがあるカリウムが豊富なこともキウイの特長。「そもそも日本人は食事で塩分を多く摂りがちですが、コロナ禍に在宅時間が増えて間食するクセや量が増えた人は注意を。スナック菓子などのほか、甘いものにも塩分は多く、糖質だけでなく、塩分の摂りすぎになっている可能性も」(池谷さん)。
普段の食事で塩分量が気になる人はもちろん、間食や食後のデザートを選ぶ際に、塩分排出に役立つキウイを取り入れてみては。
Point3:キウイを取り入れて 食後血糖を急上昇させない食べ方を!
食事にキウイを取り入れることで、食後血糖値が上がりにくくな ることを示した研究がある(下記グラフ)。小麦ビスケットの一部をグリーンキウイ、またはゴールドキウイに置き換えたところ、ビスケットのみの場合と比べるとどちらも食後血糖値の上昇が穏やかになる結果に。
「食事にキウイを取り入れるならサラダに加えると簡単。酸味や甘味が味のいいアクセントにもなります」(池谷さん)。
ドレッシングや調味料を控えても満足できるので減塩にも役立つ。
食事にキウイフルーツを取り入れることによる食後血糖値への影響
『クロワッサン』1076号より