イソチオシアネートでがん予防、キャベツの体に効かせる食べ方や選び方。
野菜指導/名取貴光 料理・栄養指導/岩﨑啓子 撮影/黒川ひとみ 文/韮澤恵理
【イソチオシアネート】で【がん予防】!【胃を守る】働きも。
【栄養豊富な旬の時期】1〜5月
冬、春、夏と異なる品種が一年中出回る。やわらかく食べやすいのは春先のもの。
【体に効く選び方】外葉の緑が濃いもの
外葉がついていて緑色が濃いものが新鮮。外葉が枯れてくると皮をむいて販売することもあるので注意が必要。切り口が新鮮なことも目安になるが、茎を切り直していることも。
【体に効く食べ方】さらさずに食べる!
ビタミンUとイソチオシアネートはともに水溶性なので、せん切りにしてから水にさらすのはNG。生で食べるのが一番だが、イソチオシアネートは熱に強いので加熱しても。
【栄養を守る保存方法】ポリ袋に入れて野菜室
まるごとならポリ袋に入れ、切らずに外葉から順に使うと鮮度を保てる。カットしたものは切り口をラップで覆うこと。
【重さの目安 1個約1kg】
[注目成分]
イソチオシアネート
ビタミンU(キャベジン)
ビタミンC
カルシウム
[エネルギー]
23kcal/100g
[食物繊維]
1.8g/100g
(Topics 1)紫キャベツや芽キャベツ……、仲間が多い野菜
キャベツは種類が多く、葉に細かなしわが寄ったちりめんキャベツ、丸いグリーンボールなどをよく見かける。紫キャベツは赤い色がアントシアニンというポリフェノールで、色素による抗酸化効果が期待できる。小さなキャベツが茎にたくさん結球する芽キャベツも。どれもイソチオシアネートが豊富。
(Topics 2)内葉はきれい!洗わなくてもいい
キャベツは内側の葉が成長して大きくなるため、中は汚れない植物。農薬や泥は外側につくので、外葉は洗ったほうがいいが、内側の葉は基本的には洗わなくても大丈夫。虫などが気になるならさっと水洗い。
胃を守るビタミンに加え、がんを防ぐ成分も。
キャベジンという成分の語源がキャベツに豊富なビタミンU。胃の粘膜を守るので、胃潰瘍の予防や改善効果があります。胃がんの原因になるピロリ菌の除菌効果も認められています。
キャベツは1990年代にアメリカの国立がん研究所が発表したがんの発生を防ぐ食品を図解化した、デザイナーフーズ・ピラミッドの頂点にランクインしています。高い抗酸化効果を誇るイソチオシアネートというイオウ化合物をとても豊富に含んでいるからです。揮発しやすいため、切ったら早めに食べるのがポイント。
骨づくりに役立つビタミンKや、免疫力を上げ、美肌や丈夫な粘膜を作るビタミンCも豊富です。
イソチオシアネートは水に溶けにくく、熱にも強い一方、ビタミン類は水に溶けやすく熱にも弱いので、すべての成分を効率よく摂るなら生食がおすすめ。揮発成分は切ったほうが得やすいので、せん切りやみじん切りが効果的。
栄養素を大切にするなら生でせん切りが基本。
キャベツの栄養素をムダにせず、噛みごたえも得るには、生をせん切りや細切りにするレシピが最適。切ってから洗うと切り口から栄養素が流れ出すので、洗ってから切ります。人気の酢キャベツは酢の効果もプラスされるヘルシーな作りおきなのでお試しを。
せん切りキャベツの担々そぼろがけ
【材料(2人分)】
キャベツ …… 4枚(200g)
豚ひき肉 …… 150g
にんにく、生姜 …… 各1/2片
長ねぎ …… 4cm
ごま油 …… 小さじ2
豆板醤 …… 小さじ1/2
A 豆乳 …… 大さじ3
醤油、すり白ごま …… 各大さじ1
甜麺醤 …… 小さじ1
砂糖 …… 小さじ1/2
粉山椒 …… 少々
ラー油 …… 少々
【作り方】
1.キャベツはせん切りにして器に盛る。
2.にんにく、生姜、ねぎはみじん切りにする。
3.ごま油でひき肉をポロポロに炒め、2、豆板醤を加えて炒め、香りが立ったらAを加えてぽってりするまで炒め煮にし、1にかけ、ラー油を垂らす。
甘酢キャベツ
\酢は生活習慣病予防に、食べやすい酸味で作る。/
【材料(作りやすい量)】
キャベツ …… 4枚(200g)
生姜 …… 薄切り3枚
だし昆布 …… 6cm
唐辛子 …… 1本
A 酢 …… 大さじ2
砂糖 …… 小さじ1
塩 …… 小さじ1/4
【作り方】
キャベツは太めのせん切りにし、昆布は3cm長さの細切りに。生姜はせん切り、唐辛子は輪切りにしてポリ袋に入れ、よく混ぜたAを加えて全体になじませ、冷蔵庫で2〜3時間おく。
『Dr.クロワッサン 体に効かせる野菜の食べ方』(2020年9月28日発行)より。