寝たきりの人などの介護にあたる場合、移動の介助は日常的に欠かせません。介護者にとっては身体的な負担が大きく、腰痛などカラダを痛める原因になりがちです。
しかし、正確な動き方を知っていれば、力がない人も少ない負担で行える、と岡田さん。そのとき重要なのは、介護者と被介護者が一体化することです。
「自分で動けない人を介助するときには、介護者と被介護者の身体を近づけて、しかっりと密着することがポイントになります。身体の間にスペースがあると、お互いの動きが伝わらず、介助技術がいかせなくなってしまうからです」
たとえば、ベッドから車椅子へ移動をするときは、相手と自分の身体を隙間なく密着させます。
「相手としっかり一体化できると、介護者の動きが被介護者にスムーズに伝わり、動作を共有できるのです。すると、今までむずかしいと思っていた介助も、想像以上にラクにできるものです」
一体化すると、お互いの力は引き出されて、余計な力が必要なくなります。
「手応えのない状態が、お互いにとっていちばん心地いい介護だと、私は思っています」
逆に、介護者が力任せに持ち上げようとすると、被介護者も身体に力が入って、ともに緊張状態に。
「それでは、お互いの潜在的な動きは封じられてしまいますし、無理が生じて腰痛など、身体を痛めることにもつながりかねません」