中井美穂さんが医師に聞いた、巡りのよい体のための正しい水分の摂り方。
撮影・黒川ひろみ ヘア&メイク・高松由佳 文・一澤ひらり
中井 水分補給で大切なのは、冷たいものを飲まないこと。こまめに回数を多く摂ること。あと、どういうことに気をつければいいですか?
伊達 水分を摂るタイミングが重要です。
一日を午前、午後、夜の3つに分けると、朝起きてからお昼までが排泄の時間、デトックスタイムです。睡眠中は水分を摂れないので、朝は脱水してリンパも血液もドロドロになっています。それらを薄めて流すために、水分補給が必要なんです。
朝起きた時は白湯をゆっくり飲んで、午前中に水分をこまめに摂って、有害物質や老廃物を尿で出し切ってしまう。このリズムを体に覚えさせるようにしましょう。
中井 午前中は水を飲むことが大事なんですね。それは知りませんでした。では、朝ごはんはどうすれば?
伊達 午前中は排泄の時間なので余計なものを無理して入れる必要はありません。食べるなら果物がいいですね。果物は水分が多いし、添加物ゼロ、加工もゼロ。排泄をスムーズにしてくれるミネラルやビタミン、酵素なども豊富に含まれています。
中井 果物ならなんでもいいですか?
伊達 南国の果物は体を冷やすので国産を選ぶのがベター。それと数種類の果物を摂ると酵素が打ち消し合ってしまうこともあるので、朝食に摂るなら旬の果物を1種類が理想的です。
食事で摂る水分を増やすのも手段。食材に水を入れ込む和食がベスト。
中井 昼から夜の、摂り方のコツは?
伊達 午後は代謝の時間ですから、のどが渇いたら飲めば大丈夫です。これが基本。でも日が沈んでから朝までは蓄えの時間になります。ここで水分をたくさん摂るとむくみやすくなります。
中井 夜は控えたほうがいいんですね。飲み物は何がいいですか?
伊達 緑茶はおすすめです。カテキンが風邪、インフルエンザなどの抗ウイルス作用もあることがわかっています。
コーヒーやカフェラテをよく飲む方はソイラテに。コーヒーはホットでも体を冷やしますが、豆乳には体を温める作用に加え、余分なナトリウムを排出するカリウムが多く、代謝をスムーズにして、むくみの解消に役立ちます。
中井 豆乳、好きです。いまはいろんな味が楽しめるし、おいしいですね。
伊達 ミントティーも効果的。このハーブは独特で、体の状態に合わせて冷えているときは温めてくれるし、熱が多すぎるときは冷やしてくれます。そもそも中井さんは水分を摂る入り口が弱いので、濃厚な成分のものは控えて、お茶のような飲み物がおすすめです。
中井 え? 吸収力が弱いからこそ、濃いもので効率よく、と思っていました。薄いものを飲むべきだったんですね。
伊達 無理のない水分補給の方法として、毎日の食事の中で摂る水分を増やすのも一つの方法です。例えばごはんはお米に水を炊き込むので水分が多めで、おかずも煮物など食材に水分を入れ込むのが和食の基本。逆にパンは乾燥食なので、スープや野菜ジュースなどと組み合わせが必要です。主食が何かで水分量は大きく変わってきます。
消化吸収に影響してくるので、 水が合う、合わないは重要。
中井 いまは日本各地だけでなく海外の水までたくさん売られていますが、選び方の基準などはありますか?
伊達 自分の生まれ育った土地の水が一番体に合います。よく水が合わないと言いますが、水が体調を崩す要因になるんです。中井さんのように胃腸が弱いとか、冷えやすい人は水の産地にも気をつけると体調は整うでしょう。
中井 私は東京出身なので東京の水が合うということですね。
伊達 そうです。利根川水系。特に、冷えやすい人は自分の住む地域よりも寒い地域の水を選ぶといいですよ。
中井 いろいろ勉強になります。ミネラルウォーターだけでなく、水素水とかシリカ水などもありますが。
伊達 私が注目しているのは「酸素水」です。現代人は呼吸が浅くなって、酸素の供給量が少なくなっています。酸素をもっと体内に入れたほうがいいし、酸素水ならすぐ飲めますから。
中井 水と酸素って生きるために一番必要なものなのに、あって当たり前と思ってあまり意識していなくて……。
伊達 体の半分以上は水ですから、水分の摂り方を変えるだけで体は変わっていきます。なんとなく飲むのではなく、意識して飲むことが大事です。
中井 これまで深く考えずに水分を摂ってきましたが、飲み物の温度や量、質、そしてタイミングをちゃんと考えて飲めば、むくみのない巡りのいい体になれる。あとは実践あるのみです!
今まで知らずにいた、正しい水の摂り方。ゆっくり実践します!
対談後、水を買うときにはまず産地を調べるようになりました。朝のフルーツも一種類でいいので気楽に続けています。ハーブティーや紅茶なども薄めに作って、何度かにわけて飲む。どれも簡単で、習慣にできそうです。
「情報を集めるだけでなく、自分の身体の声を毎日聞いて感じること」という伊達先生の言葉。必要なものを摂り、要らないものは摂らない、シンプルですがこれが大事なんですね。
そもそも伊達先生との出会いはクロワッサンのダイエット企画。私の体質をよくわかってくださっている伊達先生からの簡潔で的確なアドバイスにはいつもはっとします。あとは私が続けるだけ! 次回お会いできたら「いい感じね」と言っていただけるよう、頑張ります。
文・中井美穂
『クロワッサン』1059号より