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免疫力はつけられる?免疫力が上がる食べ方とは? 医師に聞きました。

イラストレーション・松元まり子

免疫力を上げる食べ方とは?

免疫力を上げる食事の基本

● 体重や体格に合った、たんぱく質を摂る。毎食手のひら1枚分量(75g)
野菜350gを加熱して摂る。
良質なオイルを日常的に摂る。
食物繊維を日常的に摂る。
腸内環境のケア。
減塩・薄味。主食は雑穀を混ぜて。

免疫力はつけられる?免疫力が上がる食べ方とは? 医師に聞きました。

病原体の目印となる抗体、材料はたんぱく質

「免疫レベルを保つ食べ方とは、たんぱく源となる食材、野菜、良質なオイル、食物繊維を日常的に摂ることです。摂る量も重視してくださいね」と伊藤さん。

特に意識して摂りたいのは、たんぱく質とビタミンD。

「子どもを対象にした研究ですが、ビタミンDの血中濃度が高い子の ほうが、ひと冬にかかるインフルエンザの頻度が低いという研究報告があります。また、たんぱく質は体をつくる原料であり、病原体の目印となる〝抗体〟の材料になる栄養素。しっかり摂っておいたほうが安心です。そもそも〝免疫細胞〟とは白血球のこと。栄養が足りない人の中に、その白血球の数が低下することもみられます」

免疫力維持のためには、成人女性で毎日75gのたんぱく質摂取が勧められるそう。これを摂るのは結構大変。食品中の量は、鳥むね肉(皮なし)100gで23g、牛乳200mlで6.6g、卵1個で7.38g。肉や魚もコンスタントに食べないと補給できません。

摂取したたんぱく質が体内で使われるためには、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素も必要。

「たんぱく質と微量栄養素が摂れていれば、感染症にかかりにくい体を、ある程度はつくることができます」

免疫力アップにいいとよく聞くヨーグルトについては?

「できれば脂肪ゼロを選んで。乳製品の脂肪はどちらかというと炎症を起こす脂肪です。腸内環境を整えることは、腸管免疫機能の強化にプラス。ヨーグルトなどのプロバイオティクスに加えプレバイオティクス(オリゴ糖、食物繊維)も一緒に摂ることで、腸内細菌が元気に働くようになります。食物繊維豊富な野菜、きのこ、海藻、雑穀なども摂りましょう」

【さらに詳しく食べ方をアドバイス。】

「現代人に「とくに」不足しているのは、ビタミンD、 たんぱく質、カルシウム、 鉄、亜鉛」

栄養素は、1つでは機能しません。多種多様な栄養素が助け合って体を作り、感染症や病気と戦う体力や免疫力を維持しています。この大事なポイントを、忘れないようにしましょう。

現代人が不足しがちな栄養素としては、ビタミンD、たんぱく質、カルシウム、鉄、亜鉛などが挙げられます。これらを含む食材を意識して摂るようにすると、栄養バランスが良くなります。つまり、病気に負けない元気な体を作ることができるのです。

免疫力はつけられる?免疫力が上がる食べ方とは? 医師に聞きました。

「野菜を生でばかり食べていると、 老化が進む?」

野菜に含まれる微量栄養素は、体の酸化(サビつき)を防ぎ、感染症になりにくい体を作ります。もちろん美容にも必須。

ポイントは〝新鮮〟な野菜を毎食たっぷり摂ること。生野菜ばかりでは量を摂れないので、加熱した野菜も積極的に。鍋やスープなどで汁ごと食せば、水溶性ビタミンも摂取できます。量だけでなく、種類も豊富に取り入れましょう。

免疫力はつけられる?免疫力が上がる食べ方とは? 医師に聞きました。

魚や肉を食べることは、病気のリスクを下げます

肉や魚は重要なたんぱく質源。動物性たんぱく質を摂らない生活をしていると、ビタミンB12、ビタミンD、鉄、カルシウム、アミノ酸全般が不足してさまざまな病気のリスクが上昇します。宗教上の理由など何らかの理由で動物性食品を摂れない場合には、信頼できる医師に相談しサプリなども上手に活用しましょう。

ノンオイルは決して健康的ではありません

良質なオイルは、体の炎症を抑え、体・心・脳の健康に役立ちます。避けるべき油、取り入れるべき油を知って賢く取り入れて。

マーガリン、牛脂、ラード、乳製品の脂肪は摂りすぎると老化や生活習慣病を招く脂。一方、オリーブオイルや魚の脂、亜麻仁オイル、エゴマオイルなどのオメガ3脂肪酸は体に取り入れたい健康オイル。バターやゴマ油は少量ならOK。

体をコゲさせない食べ方を

糖化とは、脳や全身の老化を進めてしまう現象。糖分が多いものや高温調理されたものを多く食べていると、AGE(最終糖化産物)という悪玉物質が作られて、糖化が進みます。蒸す・煮る<炒める<焼く<揚げるの順でAGEが増えます。ゆでる・蒸す調理を増やせるといいですね。和食は低AGE食としてお勧め。

免疫力はつけられる?免疫力が上がる食べ方とは? 医師に聞きました。
  • 伊藤明子

    伊藤明子 さん (いとう・みつこ)

    赤坂ファミリークリニック院長

    東京大学医学部附属病院小児科医、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学外国語学部イタリア語学科卒業後、同時通訳の仕事を経て40代でドクターに。一般診療に加え、栄養・食事療法などの診療も。二児の母。近著に『医師がすすめる抗酸化ごま生活』(アスコム出版)。

『Dr.クロワッサン 最新版 免疫力が上がる食べ方』(2020年5月28日発行)より。

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