痛みや不調の症状が現れる部分と真の原因となる部分は必ずしも一致しない。それがトリガーポイントという考え方。トリガーポイントは文字どおり、痛みや不調の「引き金」となる部分で、そこに適度な刺激を入れることで不調を根本から改善する。
「トリガーポイントはとくに抗重力筋と呼ばれる筋肉に多く存在しています」
と言うのはトリガーポイント鍼治療の第一人者、伊藤和憲さん。抗重力筋は重力に逆らってカラダを支えている筋肉のこと。左のイラストがその代表的な筋肉だ。
「抗重力筋には筋肉を縮めたり伸ばすためのセンサーが多く存在していて、自律神経の交感神経の影響を強く受けています。ストレスがかかって交感神経の活動が高まると、抗重力筋が緊張してこりや痛みが生じやすくなります」
この状態が長く続くと、原因不明の慢性痛や不調に繋がる。逆にいえばトリガーポイントを刺激して緩ませれば、自律神経が整って不調改善が狙えるというわけ。
「肩こりや腰痛だけでなく、下半身の冷えやホルモンバランスの乱れ、マスク生活による顔のこわばりといった症状の改善や予防にも応用できます」