からだ

“いっそ着たい服を着よう!”、引田かおりさんが今、選ぶ服。

歳を重ねると、若い頃とは体形や環境が変わってきます。変化していく自分をいとおしみながら、おしゃれを楽しむヒントを達人たちに聞きました。
  • 撮影・青木和義 文・中沢明子

素敵な街の景色の一部に自分もなれるように、 今の自分に合った服を。

引田さんがオーナーを務める『ギャラリーフェブ』と『CHECK&STRIPE』がコラボレーションしたオーダーワンピースを一枚でさらりと。リバティプリントをはじめ、たくさんの生地から選べて、自分好みの一枚を仕立てられる大好評のシリーズ。「ほんの少しAラインシルエットでポケット付き。楽ちんですが小物次第でお出かけ着にも」。バッグは〈エバゴス〉、靴は〈アヴリル・ゴウ〉。

ギャラリーとパン屋を経営する引田かおりさんの、意思あるライフスタイルに憧れる人は多い。ファッションについても確固たる考えを持つ引田さんだが、意外にも今のスタイルは歳を重ねてから固まってきたものだという。

「55歳くらいだったかしら。今までの服が突然似合わなくなり、悩みました。少し投げやりな気持ちになったけれど、“いっそ着たい服を着よう!”と気持ちを切り替えたんです。
もともと服が好きだし、歳を重ねても流行は少し取り入れたい。ただし、やみくもに着たい服を選ばず、きれいな色を選び、首周りがくすんできたら首は目立たないように、自分自身が古いんだから古着はやめておこうとか(笑)、ちょっとした心がけとともに、服選びをしています」

左手前に季節に応じた「今着たい服」を並べる。大好きなカゴバッグやよく持つバッグも一緒にスタンバイ。
ワンピースにベストやパンツを組み合わせて、マニッシュさをプラス。ベージュのニットベストは〈グランマ ママ ドーター〉、ニットベストと色調が同じパンツは〈ギャルリー ヴィー〉、ヴィンテージのフレンチリネン生地で作られた、軽量で真っ白なバッグは〈マルト〉。靴は引田さんが惚れ込んでいる〈メゾン マルジェラ〉の「タビ」シリーズのパンプス。

着心地がよいのが必須条件だが、さらに“人から褒められる”装いでいることも重要だという。

「だって、“素敵ね!”なんて言われたら、その日一日、元気になれるでしょう? 服はコミュニケーションツール。私は自分も街の一部と考えているので、素敵な街に溶け込めるように、元気に過ごせるように、服の力を借りたいと思っています」

ギャラリーでお客様に応対するような場面で活躍する、きちんと感があるコーディネート。東京・代々木上原のセレクトショップ『ペールジュート』のカーディガン、パンツは〈サキ〉、ビーズバッグは〈ジャマン・ピュエッシュ〉。足元はもちろん(?)〈メゾン マルジェラ〉のタビ・シューズ。「娘にスタイリングの相談をしますが、誰よりも厳しく助言してくれるので、頼りになります(笑)」

一方で「自分の気持ちを自分で盛り上げる」大切さについても、最近考えるようになった。

「コロナ禍で人と会わないからって何を着ていてもいいのかな?と思ったんです。時にはふさぎ込む日もありますが、人や社会のせいにしたくはありません。だから、好きな服を選んで、シャーリングの袖口がかわいいな、柄のワンピースを着るとうれしいな、といった、ささやかな楽しみを日々、感じていたいですね」

自身のワードローブにも生地や袖丈のディテール違いで何枚も収まっている。五輪に合わせて"TOKYO"の文字が小さくプリントされた遊び心ある一枚も。
「最近は小さなピアスをつける程度が心地よいですが、以前、夫から贈られたダイヤモンドピアスなど、キラキラしたジュエリーは眺めるだけでも楽しい」
足袋をヒントに作られた〈メゾン マルジェラ〉のアイコン的存在、タビ・シューズは履き心地抜群。〈w&fw〉のラメ・タビソックスと一緒に。
引田かおり

引田かおり さん (ひきた・かおり)

「ギャラリーフェブ」「ダンディゾン」オーナー

ギャラリーとパン屋のオーナー。『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)、『しあわせな二人』(KADOK
AWA)など、著書多数。

『クロワッサン』1053号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。