足の付根と鼠径部の痛みにアプローチするマッサージ。
そんなときにも効くツボへの刺激やマッサージ法を症状別に紹介します。
不快を感じている部位に対して、効果的に働きかける押し方、もみ方も、写真を使って解説します。
鍼灸師であり指圧師の石垣英俊さんに教わります。
撮影/岩本慶三 文/石飛カノ モデル/北川リサ スタイリング/高島聖子 ヘアメイク/村田真弓
【足のつけ根(そけい部)お尻の痛み】
そけい部やお尻の痛みの原因は、アンバランスな歩行動作、お尻の筋肉の緊張やこり、内臓の機能低下による骨盤まわりの筋肉の緊張などなど。ひとつずつケアして対策を。
足の付根・鼠径部の痛みへのアプローチ(1)脛の内側を押す。
脛(すね)の内側にある骨、脛骨(けいこつ)に沿ったラインは体の軸を形づくる大切な部位。
このラインにあるふくらはぎの筋肉が緊張して硬くなると、足首から膝、膝から股関節に力が伝わるときに歪(ゆが)みが生じる。すると、正しい歩行の姿勢を維持できなくなり、脚のつけ根やお尻に負荷がかかって痛みが引き起こされる。
一日の終わりにマッサージでしっかりこりをほぐそう。
椅子に座り、左足を右膝の上に乗せる。脛骨の外側に左右の手の4本指をひっかける。
ふくらはぎの筋肉に親指を当て、脛骨に沿って手首を手前に返し圧をかける。逆も。
【ターゲット】
脛骨内側のラインに沿った部分を全体的に刺激していく。
(手の形)
左右の手で脛を抱え込むようにして手首を返し、親指で圧をかける。
足の付根・鼠径部の痛みへのアプローチ(2)お尻の筋肉をテニスボールでほぐす。
仙骨と骨盤のつなぎ目、骨盤の横に張り出した部分、そして太ももの骨。この3つの部位を結んだお尻の横の扇状のエリアには、中臀筋や小臀筋という歩行の動作を安定させる筋肉群がある。
逆にいえば、これらの筋肉群が緊張して硬くなると、歩行動作がアンバランスになって骨盤まわりの不調や痛みが引き起こされるということ。テニスボールを使って緊張をリリース。
床に座って両手を体の後ろで床につけ、体を支える。テニスボールの上にお尻を乗せ、体重をかけて転がしながら刺激。
【ターゲット】
太ももの骨のつけ根からお尻の横に広がる扇状のエリアを狙う。
足の付根・鼠径部の痛みへのアプローチ(3)へその横を押す。
仕上げはお腹の刺激。骨盤まわりの不調は内臓機能の低下によって引き起こされることもある。
とくに、ストレスによる消化器系のトラブルでお腹周辺の筋肉や上半身と下半身をつなぐ腸腰筋という筋肉が緊張すると、脚のつけ根やお尻の動きが悪くなることも。
マッサージなどの方法で改善が見られないときは、内臓の調子を整えることで突破口が開けることもしばしば。
床に仰向けになり、おへその両横を左右の手の指先で押す。
【ターゲット】
おへそから左右に指の幅2本分離れたところに圧をかける。
(手の形)
手の形は「M」字。両手の指先を差し込むように。
『Dr.クロワッサン 痛みとコリをすっと消す、自分でできる整体』(2020年4月28日発行)より。