食事のひと口目の「蒸し大豆」で痩せた、カラダが変わった!医師に教わる健康効果。
撮影・黒澤義教、岩本慶三 文・一澤ひらり
ダイエットの大敵は食後高血糖。大豆ファーストで防げるんです。(右・池谷さん)
私もよくサラダやおみそ汁に、蒸し大豆をちょい足ししてます。(左・岸本さん)
岸本葉子さん(以下、岸本) ベジファーストは知られていますが、池谷先生の提唱される「大豆ファースト」とはどういうものなんでしょうか?
池谷敏郎さん(以下、池谷) 食事の最初に必ず蒸し大豆を食べるんです。それだけでも食後の血糖値の急上昇予防に役立ちます。
食後高血糖になると酸化ストレスが起こって動脈硬化や血管の老化が進み、生活習慣病の発症リスクが高くなります。しかも高血糖を下げるためにインスリンが過剰に分泌されて、糖を脂肪に変えて蓄えてしまうんですね。
これが肥満の要因になるので、食後高血糖はダイエットの大敵です。
岸本 最初に蒸し大豆を食べておくと食後高血糖を防いで、さらにダイエットにも効果的なんですね。
池谷 そうです。血糖値を上昇させるのは糖だけなんです。ごはん、パン、麺類などの主食には糖質がとても多い。
でも蒸し大豆に含まれる食物繊維は食べたものの消化吸収を緩やかにするので、糖の吸収もゆっくりになり、食後の血糖値の急上昇を抑え、痩せやすい体にしてくれます。
岸本 大豆って完全栄養食材といわれるほど栄養が豊富なのも魅力です。女性だと大豆イソフラボンが骨の成分の維持に働くので、骨粗しょう症にもいいですよね。
ぽっちゃりからスッキリ。
【36歳】79kg
31歳で結婚する時に、71kgあった体重を極端な食事制限で12kg減量に成功。しかし因果応報、リバウンドして36歳の時には79kgのメタボ体型に。
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【56歳】64kg
食事を見直し、ごはんの半量を納豆に置き換えると体重が落ち始めた。蒸し大豆の登場によって食生活が安定、15kg減を実現して、現在もキープ。
蒸し大豆は手軽に食べられるし、毎日続けるには最高の食材。
池谷 実は僕自身が大豆を利用して15kg痩せたんです。36歳のときは79kgもありましたが、いまは64kgです。体調もいいですね。
岸本 写真を拝見するとずいぶん変わられましたよね。いまのほうが若々しいし、肌や髪にツヤもあって大豆効果てきめんですね。
池谷 最初は納豆を食べていたんですが、ごはんもほしくなる。でも、6年ほど前から蒸し大豆が出回るようになってきました。水煮と違って蒸してあるから旨みや栄養を逃さず、ほっくりしていておいしい。手軽につまんで食べられるし、ヨーグルトに袋から直接ふりかけたり、ちょい足しが簡単にできる。毎日続けるにはこれ以上の食材はありませんね。
岸本 確かに蒸し大豆はクセがなくどんな料理にも合いますから、私もちょい足し派です(笑)。
池谷 大豆ファーストがダイエットにいいのは肥満ホルモンと言われるインスリンの過剰分泌を抑えるだけじゃないんですね。よく噛むし、腹持ちがいいから食べ過ぎを防ぐ効果もあります。ベジファーストよりも満腹感が持続するので、患者さんにも積極的にすすめています。
岸本 食べる順番で気をつけたほうがいいのはどんなことですか?
池谷 まず蒸し大豆入りのサラダやスープなどを最初に食べてください。そしてメインのおかずや副菜を楽しむ。最後に糖質が多いごはんなどの主食を食べるようにすると、糖質を摂る量を控えることができます。
蒸し大豆には栄養がこんなにも!
●整腸作用を促す豊富な【食物繊維】
水溶性食物繊維が豊富な大豆は、腸内環境を良好にして便秘を防ぎ、糖質の吸収・分解を緩やかにして、血糖値の上昇を抑制します。
●重だるい疲れを緩和する働き【ビタミンB群】
たんぱく質や脂質、糖質の代謝を助ける働きがあり、疲れた体にパワーを与えて元気にし、皮膚や粘膜を守って肌を健やかに保ちます。
●骨粗しょう症の予防にも摂りたい【ミネラル】
カルシウムやカリウムなどのミネラルが豊富。ビタミンD、Kを含む鮭、小松菜、きのこなどと一緒に食べると効率よく摂取できます。
●動脈硬化を予防する【たんぱく質】
「畑の肉」と呼ばれる大豆たんぱく質にはコレステロール、中性脂肪や内臓脂肪を減らす作用があり、動脈硬化予防をサポートします。
●更年期の女性に大切な【大豆イソフラボン】
女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあり、肌の潤いを保ち、更年期の不調をやわらげ、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
●血圧や血流を改善する【ポリフェノール】
黒豆の皮に含まれるアントシアニンは天然色素のポリフェノール。抗酸化作用があり、老化予防、血圧や血流の改善などに効果的です。
蒸し大豆とほかの大豆製品との栄養成分の比較
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より