藤本 食品メーカーでないパナソニックさんが食品を開発するにあたって、ご苦労がかなりあったのではと思いますが。
川端 おっしゃるように弊社も私自身も食品をどう開発するかという前提の知識がほぼゼロの状態で。材料を何にするかというところから非常に苦労しました。調理した状態で100グラムぐらい食べるとして、その糖質量が5g以下になれば、おかずのバリエーションが広がると思っていたので、その値を目指しました。そしてたどり着いたのが、大豆や卵というタンパク質が多い食材を中心に小麦などを配合したものです。
藤本 大豆って臭みが結構残るんですが、第一弾の試作品を食べたときに臭みが全然なかったんです。これがもっとお米の食感に近づいたらおいしくなるだろうなと感じました。
川端 今の第二弾の試作品はもう少しお米の粒に近づきましたが、最初はパスタを刻んで丸めたような感じでしたよね。手作業で丸めて米粒の形を作っていました。
藤本 涙ぐましい努力ですね。私は7年ぐらい前から糖質制限を始めて、代替品もいろいろ食べてきました。初期の頃の大豆パンとか、あまりおいしくなかったんです。健康的なものイコール味気ない、おいしくなさそうというイメージはまだまだ強いですよね。
川端 はい、おいしくないというイメージを払拭しないとお客様に受け入れてもらえないだろうとは思っていました。そこでお客様の声を聞いていて気づいたことが、味はもちろんですが、噛み応えとお腹にたまるという満足度の重要性です。こんにゃくでできている代替品がなぜ満足感に欠けるのかを聞いているうちに、食感と食べごたえが味とともに大事だということに気づきました。こんにゃくだとすぐにお腹が減っちゃう、ご飯に比べてツルツルしていて噛みにくいといった意見が多かったんです。「よりそいごはん」の理想は、ほぼ米に近いしっとり感。糖質が少ないと、どうしてもパサパサ感が出てきてしまうんです。そこはまだまだ改善の余地があると思っています。
藤本 すぐに食べれば、パサパサ感は気にならなかったです。第二弾の試作品では、見た目も粒感があって、ずっとお米っぽくなりましたよね。しかも、「よりそいごはん」と同量のお水をレンジで加熱するだけであっという間に食べられるという手軽さがすばらしいと思います。
川端 ありがとうございます。糖質制限食を作る母の大変さを横で見ていたので、料理する人の負担を減らしたいという思いは最初からありました。だから、レンジ調理だけでできることにこだわったんです。