痛い、かゆい…不快なデリケートゾーンの乾き。医師に聞く治療法やセルフケア。
つらいもの。でも大丈夫です。婦人科での治療やセルフケアなど、方法はあります。婦人科医の小川奈津希さんに教わります。
イラストレーション・鈴木衣津子 文・板倉みきこ
スポーツをすると下着がこすれて痛い、尿とりパッドの縁が当たってヒリヒリする、痛くて自転車にも乗れない――痛みとまでいかなくても、デリケートゾーンに様々な不快症状が出てくるのが更年期世代。婦人科医の小川奈津希さんに話を聞いた。
「多い相談は『痛い・かゆい・尿漏れ』です。性交痛やニオイなど誰にも相談できずに悩む人も少なくありません。でも、あきらめる必要はありません。婦人科で治療ができることを知ってください」
原因は、エストロゲンの減少。 根本治療から始める。
原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少。
「エストロゲンが減ると、皮膚や粘膜のコラーゲンやエラスチンなどが減るため、水分や弾力が失われていきます。治療の第一選択としては、HRTがあります」
婦人科では、血液検査でエストロゲンと卵胞刺激ホルモンであるFSHの2つの値を測る。
「その数値と心身の症状とを合わせて、更年期障害と診断されれば、保険適用での治療が可能になります。薬には、飲むタイプ、貼るタイプ、塗るタイプと3種類あり、体質などを考慮して選ぶことができます。全身に効果が出ますが、皮膚の乾燥感は比較的早く改善されることが多いです」
ダウンタイムの少ない、外科的な治療法もある。
小川さんは、新しい機器での治療も始めているという。
「『ウルトラフェミ360』といって、腟内にぐるっと360度、高周波と超音波とを照射する機器なのですが、既存のレーザー治療と違って、火傷を起こさせません。腟内の表面を傷つけないため、ダウンタイムもないのがメリットです」
照射は1回8分。月1回で計3回受けることをすすめている。
「血流改善でコラーゲンやエラスチンが増え、粘膜下のコラーゲン層が再生されることで腟タイトニング(引き締め)ができます」
乾燥感、かゆみ、性交痛、尿漏れにも効果があり、外陰部のたるみ解消にも効果がある。
「顔をケアするように、デリケートゾーンも保湿ケアが基本。QOL(生活の質)という言葉がありますが、『QOVL=クオリティ・オブ・バジャイナ(腟)・ライフ』を心がけてほしい。そのためにも、ぜひ友だち感覚でつき合える婦人科医をもってください」
『クロワッサン』1034号より