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災害やウィルス、気候…環境由来のストレスを軽減するには?

人間関係、自己承認欲求、災害不安など、ストレスの元凶はさまざま。自分に合った軽減策を知り、少しでも心地よく暮らしたい。ストレス対策のプロ、医学博士の横倉恒雄さん、公認心理師の小倉千枝さん、アサーティブジャパン代表の森田汐生さんに聞きました。
  • イラストレーション・山口正児 文・板倉みきこ

 環境由来 のストレス

気温や湿度の変化のほか、自分を取り巻く生活環境も原因になる。また、災害やウィルスなど、予測不能な問題がより不安感を煽る。

人混みや街のにおいなどに耐えられなくなってきた。

五感の一つ「嗅覚」が働くにおい。
「嫌なにおいにばかり反応するのは、脳が疲弊している証拠。ストレスを小さく感じられる脳を維持するため、大好きなにおい、心地よいにおいを積極的に嗅ぐ時間を取るといいかもしれません」(横倉さん)
耐えられなくなったきっかけは何かと推察してみることも有効。
「人混みやにおいが嫌なのではなく、今置かれた生活環境が原因だと気づくことも」(小高さん)

災害、お金…将来のことを考えると怖くて仕方ない。

不安の大本を可視化、言語化すると、必要以上に悩まなくなる。
「たとえばお金。自分の人生のシナリオを想定し、逆算して必要な金額を考えてみましょう。プロに相談し、具体的なアドバイスを得るのもおすすめ。災害に対しては、自分が何に不安を感じるのかを考え、普段から災害時に必要なアイテムを用意しておく。今できることを可視化しておけば、むやみに焦ることも減ります(小高さん)

世の中に蔓延する悪意。以前より息苦しい。

インターネットが発達し、以前なら知らずに済んだネガティブな情報にも触れてしまう機会が増加。
「悪意に満ちた情報を得て落ち込む、ビクビクする。そこでストレスを感じる自分の心の動きが既定路線になっている可能性も。また、スリルのような感覚は、脳にとって心地よい刺激に変換され、依存する傾向もあるんです。朝のニュースだけ見る、などルールを決めるのがいいですね」(小高さん)

雨、低気圧、気温差。不安定な気候がダイレクトにストレスに感じるように。

気候の変動などにストレスを感じるのは、自律神経と深い関係が。
「脳に余裕がなくなると、体にかかるストレスを過剰に捉えてしまいます。足裏を刺激すると脳内の血流が増加し、疲れていた脳に栄養が届くので、自律神経も活性化します。フットマッサージや足浴、足裏をちゃんと刺激する靴を履くのもいいですよ」(横倉さん)
体調の変化を感情で処理せず、客観的に捉えてほしいと小高さん。
「自分が悪いわけではなく、気候の問題だから仕方ないと受け入れると楽になります。その上で、ならば今日は無理せずに過ごそうとか、予定が変えられるなら違う日にしようなど、論理的な対処を」

ウィルスの問題。何をどれだけ気をつけるか。きりがなく疲れ果てる。

人間の思考は、99の良いことがあっても1のマイナスに引っ張られてしまう。さらに、自分の頭で考えずに、自分なりの意見を持っていない場合は、恐怖を煽る報道に振り回されがち。
「自分にとって大事なことがわかっていないと、ネガティブな雰囲気に引っ張られます。怖さが先走り、何が正しいかもわからずに行動してしまう人も多いはず。その結果、不安や恐怖が増幅し、疲弊します。有事には、普段意識していなかった自分のマイナス感情が顕在化するもの。何がそんなに心配なのか、本当に大切なものは何か、落ち着いて自分の意見として考えてみることです」(小高さん)

横倉恒雄(よこくら・つねお)さん●「横倉クリニック」院長。女性の内分泌学と心身症が専門。健康外来も併設。長年、病気が治る「脳」の健康法を提唱し続けている。

小高千枝(おだか・ちえ)さん●公認心理師。メンタルトレーナー、コーチ。心の免疫力を高めるためのセッションを提供。近年はがん患者のメンタルケアにも従事し、後進の育成にも励む。

森田汐生(もりた・しおむ)さん●アサーティブジャパン代表。社会福祉士の資格を有し、英国の精神医療団体でソーシャルワーカーとして勤務した経験も。全国各地で多数の講演・研修を行っている。

『クロワッサン』1020号より

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