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“飲む楽しみ”をずっと味わってもらうために。若手社員が挑む「介護+家電」プロジェクト。

1人用のコーヒーマシンかと思うようなコンパクトなつくり。デザイン家電のように見えて、じつは未来の介護用調理器。「Swallowee(スワロウィー)」と名付けられたこの機器は、いったいどんな思いから生まれたのか。
  • 撮影・黒川ひろみ 文・澁川祐子

Swallowee」は、高齢者に多い、ものが飲み込みにくい「嚥下(えんげ)障害」の課題を解決すべく事業化に向けて開発中のとろみ飲料自動調理器。
その起案者であり、プロジェクトのチームリーダーを務めるのは、入社3年目の原田彩乃さんだ。

原田彩乃(はらだ・あやの)さん●1993年茨城県生まれ。2017年、パナソニックに入社。空調冷熱ソリューションズ事業部で業務用空調設備の生産、販売、管理を担当。2019年に「Swallowee」を起案し、プロジェクトリーダーに就任。

原田さんが「Swallowee」を起案した背景には、大学時代のゼミで介護の課題解決に取り組んだ経験がある。

「思いがある家族ほど、介護をがんばろうとしますが、精神的にも体力的にも限界がある。その苦しい現実を目の当たりにしてとても切ない気持ちになり、他人事ではないと強く感じたんです」

年を取ってできなくなることが増える中、いかに介護される側もする側も心穏やかに暮らせるか。その問いは、社会人になってからも原田さんの心に残り続けた。そして入社して2年経った頃、現在一緒にチームを組む先輩に「介護に興味がある」と話したところ、ケア家電を考える社内の有志サークルに誘われたのだ。

サークルには、パナソニックの新規事業を創出するプラットフォーム「Game Changer Catapult(ゲームチェンジャー・カタパルト)」で料理をやわらかくし、飲み込みやすくする介護用製品「Delisofter(デリソフター)」の開発に携わっている人もいた。そこで原田さんは、自然と「嚥下障害」の問題に関心を持つ。そして、自らも「ゲームチェンジャー・カタパルト」に応募し、事業化に向けてチャレンジする権利を得た。

ゲームチェンジャー・カタパルトでの発表風景。
社内でプレゼンする原田さん。

嚥下障害というと、食べ物がうまく飲み込めないことだと思っている人は多いだろう。嚥下に障害が起きると、低栄養になりやすく、高齢者は場合によって死にも至る誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こす危険もある。だが、食べ物だけでなく、飲み物もまた誤嚥の大きな原因になっていることを、原田さんは勉強していく中で知った。

「一番誤嚥しやすいのは、すっと喉に入っていきやすい、さらさらの水なんです。しかも飲むのは、食べるよりも回数が多く、介護する側、される側の大きな負担になっている。ならば、私は飲み物の誤嚥を防ぐ製品を開発したいと思いました」

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