浅香 ところで私が挙げたきれいのための心がけの「清潔感」の反対語は不潔ではないのよ。清潔感とは手をかけること。年齢を重ねると女性は末端が汚くならない? 髪や爪にツヤがなくなり、手の甲に血管が浮き出て、かかともひび割れる。そこに手をかけているかどうかで、清潔感が生まれるんです。
松本 次の「さわやかな笑顔」は、まさに浅香さんのような笑顔ですね。
浅香 あら、私、さわやか?(笑)。笑顔を見て不快になる人はいませんからね。そして「仕事を大切にする心」の仕事は、別に職業じゃなくていいの。主婦として家事や介護をするのも立派な仕事。自分が日々やっていることを大切にする人はきれいでいられると思います。
松本 私も言葉は違うけど、浅香さんの考えと似ているかも。美しさの理想形は清々しい人だと思うんです。そのための三カ条かな。「手放す」とは、生きるうえで手放すことも大事だなと。若さに固執しないのも手放すこと。
浅香 ああ、わかる!
松本 「ものを大切にする」のは人間としての基本ですね。そして「おもしろがる」は、昨日まで持っていたものを手放し、今日手に入れたものを楽しみ、明日はまた違うものを楽しもうという能動的な考え方。さらに自分を観察しておもしろがれるなら、なおよし、です。自分を受け入れていないと、自分をおもしろがれない。この3つは自分への戒めも込めています。
浅香 今の若い世代って、人に興味がない人が多いのよ。私は教室に初めての生徒さんが来ると、ものすごく話しかけてしまう。「きれいなのに、なんで来たの?」とか(笑)。単純に人に興味があるし、話を聞くことでその人の魅力がわかる。他人にいい意味で興味を持つことは大切です。
松本 浅香さんみたいに人間関係を楽しめる人は老けないと思うんです。一方的にボールを投げるばかりじゃなくて、相手のことも受け止めるから。
浅香 そう。壁に投げてもつまらない。キャッチボールするから楽しいのよね。
松本 そして不思議なんだけど、女性は自分がきれいになると、人とコミュニケーションをとりたくなりますよね。