【試して納得】煮る、焼く、蒸す、炊飯まで。60年以上愛される超万能な無水鍋。
撮影・黒川ひろみ 文・板倉ミキコ
ル・クルーゼやストウブと言った鉄製鋳物のホーロー鍋は、ここ10年ほどでキッチンのお馴染みになっています。そのおかげで、素材の栄養分を逃さず、旨みを最大限に引き出す無水調理が注目されましたが、彼らより長い歴史を持つ、メイド・イン・ジャパンの無水鍋をお忘れじゃありませんか?
職人が手がけるものが好き、日本の文化が好きと自認しながら、これまで私も全くノーマークでおりまして、大変お恥ずかしい限りです。
1953年生まれのこちらの無水鍋。素材のアルミニウムを生かした美しい色、そして無駄のないモダンなシルエットは、半世紀以上変わらずに守り続けられてきたもの。フランス製のホーロー鍋のほっこりした風情にはどうもピンとこなかったのですが、このシャープさは凛々しくて悶えます。
もちろん機能も申し分ありません。蒸す、煮る、茹でる、炊く、炒める、焼く、オーブン代わりにと鍋一つで超万能。キャンプでも活躍し、本体だけでなく蓋をフライパン代わりに使える無駄のないデザイン。
アルミニウムは優れた熱伝導率を誇ります。鉄の約3倍、ステンレスの約14倍の熱伝導率でスピーディな調理を実現。食材に均一に熱が回るので、ムラなくキレイに火が通ります。ローストビーフや豚の角煮などは、熟練の主婦の出来と見まごうジューシーな一品に。お米は5〜10分炊いてから、10分蒸らして完成という簡単さ。唐揚げなどはいつもより少ない油でできるので、無駄な油を使わずに済みます。時短調理を何より望む現代女性のニーズに応えてくれる、生涯現役66歳の無水鍋です。
頑張り屋の鍋のルーツは、1921年(大正10年)創業のお店が手がけたアルミニウム製の羽釜。戦後、台所はガスが普及し、ガスでも羽釜と同じくらい美味しいごはんが炊けるように開発されたのが、この無水鍋の原点です。「料理を通して皆様の食生活を豊かにするお鍋の“王様“でありたい」。そんなメーカーの気持ちがKING印に込められています。発売当初は一般的なサラリーマンの初任給の1/3という高級品。その後シリーズ累計1000万台というロングセラーになったというわけです。現在、様々な素材で作られた無水鍋がありますが、アルミニウム製は軽くて使いやすく、耐久性抜群。親子三代で愛用している家庭もあるそうです。
実はこの話、正月に母親にしていたところ「ウチにもあるわよ」と言われました。料理は好きだけど、細かいことは気にしない大雑把な母。メンテナンスがいい加減だったために、40年使い込んだ我が家の鍋には美しいアルミニウムの風情がほとんど残っていなかったのです。灯台下暗し。子供の頃から好物の我が家のロールキャベツも、実は無水鍋が関わっていたのでした。(ライター Mikiko)
<商品概要>
■商品名:KING無水鍋(18cm、20cm、24cm)
■販売:クロワッサンの店